新・怖いくらいに青い空

アニメ・マンガ・ライトノベル考察

『亜人ちゃんは語りたい』のOPにこの作品のテーマが全て詰まっている

アニメ『亜人ちゃんは語りたい』およびそのエンディング曲『フェアリーテイル』について、次のような考察をしている記事があります。

亜人デミヒューマンを題材に扱う作品の目的は、主に3つ。
「1:異世界ファンタジーらしさを出すため」「2:萌えキャラクターとして」「3:種の生態の表現・文化論」
(中略)
亜人ちゃん~』はというと、2と3の間。
4人の亜人女子の悩みや考え事を描くことで、現実の「マイノリティ」「バリアフリー」問題を間接的に考える作品だ。
エンディングで多様性を表すレインボーカラーのクレヨンを出しているあたり、意気込みが見える。
「亜人ちゃんは語りたい」が描くバリアフリー。バンパイアに国が月1で血液パックを支給 - エキレビ!(1/2)より引用)

しかしオープニング曲『オリジナル。』の方も、エンディングに負けず劣らず、意気込みが感じられて意味深な歌詞になっています。

語りたいよ 君の素敵 オリジナル
ざわめいた教室 浮きたくないみんな 愛想笑い
負けん気な瞳の君だけが 唇強く噛みしめていた
君は言ったね 誰かの目気にして 他の誰かを傷付けたくないよ
(『オリジナル。』、作詞:岡田麿里、作曲編曲:ミト、歌:TrySail*1

歌詞を見てもらえば分かると思うのですが、これ、明らかに学校での「いじめ」や「差別」のことを言ってる曲ですよね。

教室がざわめいているのは、そこで誰かがいじめられているからです。あるいは教室の中でマイノリティとなった生徒が、身体的特徴とか趣味嗜好とか家系とかをバカにされて笑われている。いじめは駄目だと分かっていても、みんな教室の中で「浮きたくない」ので、ただ流されるままに「愛想笑い」を浮かべている。そんな中で、「負けん気な瞳の君」=小鳥遊ひかりちゃんだけが、唇をギュッと噛みしめていたたまれない気持ちになっているわけです。「誰かの目」を気にするということは、すなわち、教室内で浮いてしまわないように空気を読みながら過ごすということ。でもそれは「他の誰か」、すなわち、「普通じゃない」というレッテルを貼られて差別されている人(それは亜人・障害者・LGBTの人など、色々な場合が考えられる)を傷付けることにもなる。そんなことはしたくない、間違っているものにはっきり「ノー」と言うことのできる自分でありたい、という風にひかりちゃんは強く決意する。

多数派によって形成された空気の中で、人々は同質化・規格化されていく。男は女を、女は男を好きになるのが普通、いつも五体満足でいるのが当たり前、共通の話題で盛り上がれるのが当然、という空気ができあがっていく。でも、人間とは本来、もっと多様性があるはずなんだ。障害者もいる、同性愛者もいる、血を吸いたくなる人もいるし、頭と体が分離してる人もいる。彼ら一人ひとりが掛け替えのない「オリジナル」な人間だ。その「オリジナル」をもっと知りたい、もっと語りたい、と高らかに謳い上げているのが、このOP曲なのです。

これはまさに、本作のテーマそのものと言えるんじゃないでしょうか。

*1:耳コピなので、間違っていたらごめんなさい。

『かぐや様は告らせたい』における四宮かぐや様の可愛さの指数関数的増大について

『かぐや様は告らせたい』第4巻読みました。もうね…本当にね…今回も我らがかぐや様が、

おかわわわわわわわわわわわわわわわわわあああああああ!!!!!!!

という感じで、相変わらず四宮かぐや様が異次元の可愛さで、読んでる間ずっと笑いが止まりません。いや、もう、とにかく凄いとしか言いようがないんですよ。話が進むにつれてかぐや様の可愛さが指数関数的に増大しています。エクスポネンシャルです。可愛さのハイパーインフレーションです。

普通のキャラの場合、可愛さが増していくということはありません。初登場時と同じレベルを最後までキープしていくというのが基本です。しかし、まれに、話が進むにつれて可愛さがどんどん増していくキャラクターもいます。しかし、この場合でも、可愛さの増大はリニア(一次関数的)な増え方しかしません。また、その増大もいずれは飽和に達し、最終的にはある一定の可愛さラインのところに落ち着くのです。ところが、かぐや様の可愛さだけは、エクスポネンシャルな増大を見せるのです。要するに、普通のキャラの可愛さは2倍、3倍、4倍…という増え方をするのですが、かぐや様の場合は10倍、100倍、1000倍…というケタ違いの増え方をしているのです! これは、宇宙の加速的膨張の発見(この功績により、Perlmutter氏、Schmidt氏、Riess氏が2011年ノーベル物理学賞を受賞)にも匹敵する、歴史的な大事件と言えるでしょう。

では何故、かぐや様の可愛さだけが、リニアではなくエクスポネンシャルな増え方をしているのでしょうか? それは、かぐや様の中で、生徒会長・白銀御行への恋心がどんどん増大していることと関連しています。もう巻数が増えるにしたがって、かぐや様がどんどん「恋する乙女」になって行ってるんですね。かぐや様はとにかく御行のことが大好きなのです。御行といっしょに居たい、デートしたい、手をつなぎたい、抱かれたい、キスしたい、私だけを見ていてほしい、ああもう大好きだあああああああああああああ!!!!!って叫びたくなるくらい、御行のことが大好きなのです。(それと同じくらいに、御行もまた、かぐや様のことが大好きでたまらないのだということは、もはや言うまでもないでしょう。)

でも、この作品特有の上手い設定によって、自分の感情を素直に受け入れることができない状況が生まれているのです。皆さんご存知の通り、かぐや様は超エリートでプライドが高くて、自分から告白するなんて恥だと思ってるわけですね。また、同様の理由から、相手に自分の弱みを見せられない、子どもっぽいところを見せられないと考えてしまって、いつも自分の感情に蓋をして平静を装っているわけです。しかも、自分の中の恋心が日に日に増大していくのを意識すればするほど、ますますその感情を隠そうという気持ちも強くなっていってるんです。(まあ、ぶっちゃげ、2人とも自分から告白するのが恥ずかしいから、もっともらしい理由を付けて告白できない言い訳にしてるだけ説もあるんですけどね。)

さて、上で見てきたように、現状のかぐや様は、大好きな人に近づきたいという引力と、自分の弱みを見せたくないという斥力が、どちらも日に日に増大しているような状態です。こうなると、自分の頭の中で相反する感情がせめぎ合い、感情が右へ左へ揺れ動き、脳内がもうしっちゃかめっちゃかになっていきます。このカオス状態こそが、強力な可愛さのビックバンを生み出し、指数関数的な可愛さの増大という現象を引き起こすのですね。

もうこれは、2017年の日本において、最も面白いラブコメと言っても過言ではないでしょう。早くアニメ化しろって思います。

『クズの本懐』と『小林さんちのメイドラゴン』について

今季アニメの第1話をざっと見ましたが『クズの本懐』がダントツで良いですねぇ。特に、ヒロイン・花火役の安済知佳さんの演技が素晴らしいんですよ。子どもの頃からずっと片思いしている先生に好きな人がいると知って、ひたすら思考がネガティブになってやさぐれてる感じを上手く演じています。その一方で、恋敵に敵意を向けるシーンとか、麦の家でのベッドシーンとか、感情が表に出てる時の声も良いですよね。

安済さんと言えば、『クオリディア・コード』で千種明日葉を演じていていました。その明日葉ちゃんがお兄ちゃんに対して「え?何?キモいキモい」みたいな感じになってるシーンは毎回、いわゆる声優声優した演技がかった声じゃなくて、「完全に警戒心とか緊張とかを解いた上で接することのできる肉親との会話」感が上手く再現されてて、ストーリーや作画は散々でしたが唯一そこだけは見所があったと言っても過言ではないと思います。

一方、世間一般で安済さんと言えば、『ユーフォ』で高坂麗奈を演じていたことで有名ですが、やはり京アニのキャスティングは秀逸だなあと改めて思いました。『ユーフォ』の例でいえば、久美子役の黒沢ともよさんの演技も良かったんですが、2期の12話で部長さんが最後の挨拶で泣き出してしまい、最後らへんもう何言ってるか全然わからなくなってるのがメッチャ愛おしくて、この泣き演技は早見沙織さんにしか出来ないよなあと唸らせてくれるシーンでした。

さて、その京都アニメーションが今期製作したのが『小林さんちのメイドラゴン』で、そのヒロイン・小林さん役が田村睦心さんという、これももう素晴らしいとしか言いようがないキャスティングとなっています。小林さんのどことなくボーイッシュで着飾らない姿が、ハスキーな田村さんの声とよく合うんですよ。しかも、メイド談義で荒ぶってるときの演技も流石ですし、全体的にキルミーベイベーのソーニャちゃんを彷彿とさせる演技で、キルミスト大歓喜のアニメと言えるんじゃないでしょうか。

次のような方法で生まれた子どもに皇位継承権はあるか?

次のような方法で生まれた子どもに皇位継承権はあるか?

ケース1 体外受精

  • 皇太子夫妻の間になかなか子どもが生まれなかったので、皇太子の精子と皇太子妃の卵子体外受精し、受精卵を皇太子妃の子宮に着床させ、10か月後に皇太子妃が男子を出産した。
  • 想定される賛成意見: 現在すでに広く使われている技術であり比較的安全で社会的にも広く受け入れられている。自然出産で生まれた子どもと遺伝的には全く変わりないので、何の問題も存在しない。
  • 想定される反対意見: 皇族は昔ながらの自然な方法で子どもを作るべき。

ケース2 代理母

  • 皇太子妃の子宮には異常があり受精卵の着床が困難であった。そこで、皇太子の精子と皇太子妃の卵子体外受精し、受精卵を代理母の子宮に着床させ、代理母が男子を出産した。
  • 想定される賛成意見: 遺伝的には完全に自然出産の場合と同じで、皇太子の血を受け継いでいるのだからOK。
  • 想定される反対意見: これは代理母となる女性に多大な負担を強いる制度であり、認められない。遺伝上の母親と出産した母親が違うのは自然に反するし、様々な混乱が生じる危険性もある。*1

ケース3 他人の卵子を利用

  • 皇太子妃の卵巣には異常があり正常な卵子を作り出すことができない。そこで、皇太子の精子と一般女性の卵子体外受精し、受精卵を皇太子妃の子宮に着床させ、皇太子妃が男子を出産した。
  • 想定される賛成意見: 皇太子妃の遺伝子は受け継いでないが、皇太子の血は受け継いでいるのでOK。歴史的に見ても、かつては側室制度などがあり皇太子妃以外の女性が男子を産むケースはあった。
  • 想定される反対意見: 遺伝上の母親と出産した母親が違うのは自然に反する。

ケース4 精子の凍結保存

  • 皇太子は不妊治療のために精子を凍結保存しておいた。その数年後にガンが見つかり、治療の副作用のせいで精子を生産できなくなった。そこで、凍結保存しておいた精子と皇太子妃の卵子体外受精し、皇太子妃が男子を出産した。
  • 想定される賛成意見: 精子を取り出した時期が違うだけで通常の体外受精と変わらない。体外受精がOKならこの方法もOK。
  • 想定される反対意見: 子どもを作る能力が失われたにもかかわらず、子どもが生まれたということになるので自然に反する。

ケース5 皇太子の死後に対外授精

  • 皇太子は不妊治療のために精子を凍結保存しておいた。その数年後、不慮の事故により皇太子夫妻が亡くなった。事態を重く見た日本政府は、凍結保存しておいた精子と一般女性の卵子体外受精し、その女性が男子を出産した。
  • 想定される賛成意見: 遺伝的には完全に皇太子の子どもと言える。皇室を存続させるために他に手段がないのであればやむを得ない。
  • 想定される反対意見: 皇太子夫妻の死後に子どもが生まれたということになるので、自然に反するし倫理的に認められない。*2

ケース6 他人の精子を利用

  • 皇太子は精巣に異常があり精子を生産できなかった。そこで、皇位継承権を持つ男性の精子と皇太子妃の卵子体外受精し、皇太子妃が男子を出産した。
  • 想定される賛成意見: 遺伝的には皇太子の子どもではないが、別の皇位継承者の遺伝子を受け継いでいるので問題ない。
  • 想定される反対意見: 法律的には皇太子夫妻の子どもであっても、皇太子の遺伝子を受け継いでおらず、自然に反するので駄目。

ケース7 ゲノム編集

  • 皇太子には深刻な遺伝子疾患があり、生まれてくる子どもは健康であって欲しいと考えた。そこで、皇太子の精子と皇太子妃の卵子体外受精し、受精卵の遺伝子をゲノム編集によって改変した後、受精卵を皇太子妃の子宮に戻し、皇太子妃が男子を出産した。
  • 想定される賛成意見: 安定的な皇位継承のためには、皇位継承者が健康でなければならない。病気に関連する遺伝子を取り除くなど、必要最低限の改変なら許される。
  • 想定される反対意見: 受精卵のゲノムを改変することは倫理的に問題がある。ゲノム編集によって皇太子の遺伝子が一部改変してしまうので、自然に反する。しかも、ゲノム編集によって人為的に改変されたゲノムが皇室で恒久的に受け継がれることになるので問題だ。

ケース8 iPS細胞

  • 皇太子は精巣に異常があり精子を生産できなかった。そこで、皇太子の体細胞からiPS細胞を作製し、そこから作りだした精子と皇太子妃の卵子体外受精させ、皇太子妃が男子を出産した。
  • 想定される賛成意見: たとえiPS細胞由来の精子であっても、皇太子の精子であることには変わりないのでOK。
  • 想定される反対意見: iPS細胞を作る工程でゲノム編集をする必要があるため、皇太子の遺伝子が一部改変してしまうことになり問題だ。子どもを作る能力が完全に無いにも関わらず子どもが生まれたということになるので、自然に反する。

ケース9 皇太子の死後にiPS細胞を作製

  • 不慮の事故により皇太子夫妻が亡くなった。事態を重く見た日本政府は、皇太子の体細胞からiPS細胞を作製し、それから作りだした精子と一般女性の卵子体外受精し、一般の女性が男子を出産した。
  • 想定される賛成意見: 皇室を存続させるために他に手段がないのであればやむを得ない。
  • 想定される反対意見: 皇太子の死後に、iPS細胞から精子を作り、皇太子妃以外の女性が出産、という問題のあるポイントが山積み。

ケース10 同性カップルの子ども

  • 日本で同性婚が認められ、皇太子も一般の男性と結婚した。皇太子の配偶者の体細胞からiPS細胞を作製し、そこからさらに卵子を作製した。その卵子と皇太子の精子体外受精させ、代理母が男子を出産した。
  • 想定される賛成意見: 両親が2人とも男性であっても遺伝子を受け継いでいるのなら2人の子どもであると認めるべき。皇太子の精子を使って生まれた子どもなのだから何の問題もない。
  • 想定される反対意見: 皇室の場合は伝統を重視し、結婚は男女間でのみ認められるべき。

ケース11 性転換手術

  • 皇太子が性転換手術を受けて性別も女性となり、一般の男性と結婚した。皇太子の配偶者由来のiPS細胞から卵子を作製し、性転換手術を受ける前に冷凍保存しておいた皇太子の精子体外受精させ、代理母が男子を出産した。
  • 想定される賛成意見: 皇太子は法律上女性となっているが、子どもには皇太子由来のY染色体が受け継がれているのでOK。皇太子の精子を使って生まれた子どもなのだから何の問題もない。
  • 想定される反対意見: 皇太子は法律上女性となっているので、その時点で皇位継承権を失う。ゆえに、その子どもにも皇位継承権はない。

ケース12 クローン技術

  • 不慮の事故により皇太子夫妻とその子どもが亡くなり、皇位継承者がいなくなった。事態を重く見た日本政府は、一般女性の卵子から核を除去し、皇太子の子どもの体細胞と融合させた後、その女性が男子を出産した。
  • 想定される賛成意見: 遺伝子的には完全に皇太子夫妻が自然に生んだ子と同じ。皇室を存続させるために他に手段がないのであればやむを得ない。
  • 想定される反対意見: クローン人間を作ることは倫理的に認められない。子どもは精子卵子の受精によって作られるべき。クローンを作るくらいなら、女系天皇を認めるなどの代替案を考えた方がまし。

ケース13 天皇のクローン

  • 日本が核兵器による攻撃を受け皇位継承者が全員死亡し遺体も残らなかった。事態を重く見た日本政府は、数十年前に亡くなった天皇の墓を掘り起こして、骨の中からDNAを取り出し、クローン技術を使って子を誕生させた。
  • 想定される賛成意見: かつての天皇と完全に同じ遺伝子を持っているのでOK。皇室を存続させるために他に手段がないのであればやむを得ない。*3
  • 想定される反対意見: クローン人間を作ることは倫理的に認められない。技術的なハードルが極めて高い。ここにお金をつぎ込むよりも、まずは日本の復興を優先すべき。

まとめ

一応、大まかにケース分けしておくと、ケース1~6までが皇位継承者の遺伝子を全く改変しないケース(今ある技術でも可能)。ケース7~9は皇位継承者の遺伝子の一部を改変してしまうケース。あと、ケース10と11が同性婚などに関連するケースで、12と13がクローン技術を使うケースです。

今回は、「遺伝学的には」確実に天皇家の血を受け継いでいる場合のみを考えています。「女性天皇女系天皇を認めるべきか」とか「天皇家と全然関係ない男子を皇太子夫妻の養子にしてもその子に皇位継承権はあるか」みたいな話は考えていません。これはあくまでも、科学技術の進歩によって、自然出産では起こりえないような形で、天皇の血を受け継ぐ男子が生まれた場合を想定し、そのような場合に皇位継承権は認められるのかどうかを考えてみるという思考実験です。

*1:現在の日本では代理母による出産は認められていない。

*2:現在の日本では、凍結卵子および凍結精子は、本人が死んだらすぐに破棄される決まりになっている。

*3:今上天皇が亡くなられた時は火葬となる方針だが、昭和天皇までは土葬だったので、骨からDNAの断片を取り出せる可能性は高い。

『けいおん!』第2期、各話感想

BSプレミアムでの『けいおん!』再放送、その第2期について感想を書きました。

第1期の感想はこちら→『けいおん!』第1期、各話感想 - 新・怖いくらいに青い空

第1話「高3!」

第2期の最初ということで色々見所があるんですが、りっちゃん研究者としてまず第一に挙げたいのが、猫背気味で気だるそうに校歌を歌うりっちゃんの横顔が最高に美しかったという事ですね。あと、「廃部なんて駄目っス!」と言う唯に続いて「自分もそう思いマッス!」と力強く言うムギちゃんが最高に萌える。

第2話「整頓!」

トンちゃんを買うだけの蛇足回、だけど全然蛇足じゃないインパクトのある回。これは第2期全体にわたって言えることですが、話の本編とは全然関係のないキャラの何気ない仕草とか台詞とかが、何故かすごく印象に残っている。例えば、じゃんけんの前にやる腕をクロスさせるやつを唯がやって、それを見よう見まねでムギが真似するシーンとか、メチャクチャ可愛くないですか? あと、律がポケットに手を突っ込みながら制服パタパタさせてるのとか、マジで可愛すぎて何度もそこだけ見返してしまう。

第3話「ドラマー!」

りっちゃんで始まりりっちゃんで終わる奇跡の神回。ドラムやだ!とか言って泣きだすりっちゃん、ギターを持つりっちゃん、集合写真撮る時に背伸びしてるりっちゃん、ドラムを始めた頃の感動を思い出し笑顔でドラムを叩くりっちゃん、「みんなの姿を見ながらドラム叩くの大好きだ!」って宣言する笑顔のりっちゃん、マジで可愛すぎやろ…。素晴らしすぎだろ…。

第4話「修学旅行!」

新幹線の席で胡坐をかくりっちゃん可愛い。意外と方向音痴な和さん萌え。修学旅行の引率で教師然としてるさわ子先生が新鮮で良い。笑いのツボにはまって笑いを押さえきれない澪の演技が実に素晴らしい。声優の演技が全体的にすごく自然体で「ああ確かに、女子高生の修学旅行ってこんな空気感あるよなあ」と思う。

第5話「お留守番!」

憂が史上最高に可愛かったです。まず、純や梓と一緒に3年生の教室に行くところが何か可愛い。そして、お姉ちゃんが帰ってこないと気付き涙目になるのも勿論可愛いんですが、その直後のナレーションで気恥ずかしそうに「というわけで…」と言うところがまた最高に可愛いんです。この素晴らしさに気付いてない人は是非もう一回見直してみてください。

そして、憂に匹敵する可愛さだったのが純ちゃん。平沢家で泊まってる時に、ドーナツ食べ散らかすわ、梓に頭突きしてくるわ、勝手にマンガ読み出すわ、もうやりたい放題すぎてびっくりした。挙句の果てに梓も「友達無くすよ」とか言っちゃうし、口には出さないけど憂もムカついてたんじゃないかなあ。でも純からしたら、自分にだけ先輩からメールが送られてこなくてちょっと寂しいなとか思っていて、憂も梓もメールに夢中で構ってくれないから拗ねて漫画ばっかり読んでるわけですよ。本当は凄く繊細で寂しがり屋な子なんですよ、純ちゃんは! これは誰に感情移入して見るかによって、話の印象がガラリと変わるだろうなぁ。

第6話「梅雨!」

これも蛇足だけど蛇足じゃない不思議な回だわ。唯の制服のボタンを直すりっちゃん萌え。あと、唯と憂が一緒に歌う『あめふり』が凄く良かった。こういうアニメで童謡が流れると、普段何気なく耳にしているメロディが実に良く聴こえるから不思議だ。

第7話「お茶会!」

「律先輩、会費はいくら取る、なんて言い出さないでくださいよ」でクソ笑った。梓の律先輩ディスりもなかなか板についてきたな。澪ちゃんファンクラブのお茶会で意気揚々と司会を務めるりっちゃん可愛い。

第8話「進路!」

『うさぎとかめ』の音楽が良い感じ。余談ですが、『ドラえもん のび太のワンニャン時空伝』でも同じように『うさぎとかめ』が流れてて、そちらも凄く良い映画なのでオススメ。小学生りっちゃんが可愛すぎて生きるのがつらい…。あずにゃん、律に向かって「昔は良い子だったんですね」って、そりゃないよ(笑)。澪から「やっぱり律に助けてもらうんじゃなかったかな」とか言われて、割とマジで泣きそうになってるりっちゃん萌え。

第9話「期末試験!」

進路の話の後で唐突に近所のおばあちゃん出てきたから、私はてっきり唯が福祉とか看護の学校に行きたいとか言い出すのかなあと思ってたけど、結局何の関係も無かったなぁ。あずにゃんの「ででれこでん」は至高。何の変哲もない公園でこじんまりと開催される演芸大会の絶妙なショボさがリアルで良い。

第10話「先生!」

さわ子「な、何よ、こんなとこまで電話して来て!」、律「な、何よ、こんな所に急に電話して来てぇ!」←微妙に間違ってるのが死ぬほど萌える。先生を尾行する時ムギちゃんが一番ノリノリで大爆笑。廊下に立たされてる時のりっちゃんの「忘れていたのかっ!」の言い方が可愛い。今から振り返ってみれば死ぬほど恥ずかしい青春時代の黒歴史、でもそれは完全に無かったことにしていいものなのか?というテーマは、『中二病でも恋がしたい!』『たまこまーけっと』へと連綿と受け継がれていますね。

第11話「暑い!」

部長会議(の練習)で反論に答えられないりっちゃんが死ぬほど可愛い。何というか、修学旅行で道を尋ねてる時も思ったけど、普段と違う場面ではいつもの明るい性格が封印されてモジモジしてるのが超可愛いんだよ!

第12話「夏フェス!」

下の参考記事でも言われていますが、夏フェスではしゃぐ澪をどこか冷めたような目で見つめる律が本当に素晴らしいですね。それと、部屋でスク水着たり(11話)、夏フェスで焼きそばに執着したり(12話)、駄菓子屋に興奮したり(14話)と、夏のムギちゃんは全体的にテンション高くて可愛いですね。

第13話「残暑見舞い!」

梓の夢が4回も挿入される不思議な回。この辺りから梓の「もうすぐ先輩たち居なくなっちゃうんだ、うわあああああ」的なセンチメンタルな内面が描かれることが多くなる。最終回までの1クールはずっとこんな調子なので、ぶっちゃげ少しくどい感じ。唯たちが3年生の時を2クールもかけてやってるので、まあこうなるのは仕方ないが、「やはり第2期も1クールでやれば良かったのでは?」と思ったりもする。

第14話「夏期講習!」

第1期の11話、13話、そして第2期の3話に匹敵する、りっちゃんファン歓喜の神回。ムギとりっちゃんのゲーセン&駄菓子屋デート、からの、予備校でのムギちゃん叩かれ大作戦、か~ら~の~、おデコ絆創膏りっちゃん様が最高に可愛くて萌え死ぬ。どのシーンも最高でメチャクチャ笑えるんだけど、でも一番大爆笑なのは、あずにゃんの「私ジャンケン弱いから嫌です」だよな。どんだけケーキ食いたいんだよ、あずにゃん…。

第15話「マラソン大会!」

マラソン大会でも安易に視聴者に媚びず、服装をジャージにするあたりが京アニの真骨頂ですよ。それにしても、こんなどうでもいい行事で丸々1話使うあたりが第2期の一番の特徴と言えるんじゃないでしょうか。唯はあの後、さわ子先生にメチャクチャ怒られて泣いてそう。

第16話「先輩!」

「私も大人になったら大人になるのかな」(2期10話)とか、「あずにゃんあずにゃん」(2期16話)といった、深いのかそうでないのか分からない唯の名言(迷言)は、そこはかとなく野比のび太臭がする。そのうち「なぜだ?なぜお菓子は食べると無くなるのだ?」とか言い出すんじゃないか。このままではいけない、自分を変えたい、と思っている人に対して「君はこのままでいいんだよ」と言って安心させる手法は、『日常』第16話における「なのちゃんはなのちゃん」に受け継がれています。

第17話「部室がない!」

「ムギちゃんがお茶なんか淹れるからだよぉ」「一番おかわりしたの唯ちゃんですぅ」は最初聞いた時、結構衝撃だった。あと、歌詞発表の場で自分だけ歌詞を発表せず(恥ずかしくて出来ない?)司会に徹してるりっちゃんの言動がいちいち可愛い。

第18話「主役!」

りっちゃんのいつもとは違う姿が満載の神回。梓に向かって「中野~!」って言いながら首絞めてくるりっちゃん可愛い。ブレザーのボタンをちゃんと閉めてる律が狂おしいほど可愛い。澪や聡に笑われて顔赤くしてるりっちゃんマジ天使。

第19話「ロミジュリ!」

ジュリエットりっちゃんという神々しい天使。ウインクする時まぶたピクピクしてるりっちゃん可愛い。あと、鬼太郎ちゃんこと木下しずかさんがメッチャかわいい。唯たちのクラスメイトの中で一番好き。

第20話「またまた学園祭!」

学園祭ライブもその後の部室での会話も最高でしたが、多くの記事で語り尽くされていることなので、この記事ではあえて律に焦点を絞って見ていこう。

これまで律は部長として、部のムードメーカーとして、常に元気いっぱいで皆を導いてきました。合宿や修学旅行で誰よりもはしゃいで楽しんでましたし、1年の時の学園祭では皆を笑わせて澪の緊張を解いてあげてました。その一方で、普段の律とは全く正反対の一面が垣間見えることが何度かありました。澪と喧嘩して落ち込んでしまったり、澪が書いた歌詞をラブレターと勘違いして動揺したり、部長会議の練習で言葉に詰まってしまったり、ジュリエットの台詞が気恥ずかしくて上手く演じることができなかったり。

それを踏まえた上で、今回の学園祭ライブを見てみましょう。唯のMCでジュリエットの台詞を言うようにせがまれてメッチャ恥ずかしがる。ようやく前に出てきたと思ったら、台詞を言い終わるやいなや、そそくさとドラムの位置に戻って恥ずかしそうにしてる。メンバー紹介の時も、他の皆が堂々と自分の気持ちを声にしていたのとは対照的に、一言挨拶しただけで次の曲に移ろうとしてる。これは本当に言葉では言い表せないくらい凄い描写だ…。

部活やクラスの中では常に明るくて活発で、澪をはじめとする周囲の人達を支えて引っ張っていくのが得意で、でも本当は繊細でシャイなところもあって自己表現が凄く苦手で…。この学園祭ライブの中に凝縮されているりっちゃんの素晴らしさ、皆さん理解していただけましたか?

第21話「卒業アルバム!」

賛否両論渦巻く第2期の中でも特に否定意見が多い第21話。何がいけなかったんやろうなぁ。やっぱ、推薦蹴って別の大学行く理由が「みんなと同じ大学行きたい」だけじゃ弱すぎるんじゃなかろうか。これが「皆とバンドを続けていくためにちゃんと音楽を勉強できる大学に行きたい」とかだったら、かなり印象が違っていたと思われる。

第22話「受験!」

陰鬱…。重い…。気持ちは分からんでもないけど、バレンタインのケーキ渡すだけでそんな動揺せんでもよくない?あずにゃん? ここら辺はちょっとねえ、2期が長くなり過ぎた弊害みたいなものが出てきてる感じするのよねえ。学園祭が終わってからの話はずっとこんな感じで、もうちょっと短くても良かったと思うけど、でもこればっかしは仕方ないのよねえ…。

第23話「放課後!」

傍から見れば「人生の無駄遣い」にしか見えないけれども、唯たちにとってはかけがえのない特別な時間。残りわずかしかないこの大切な時間をじっくりと噛みしめて、一点の後悔もないようにその全てを心の奥に深く刻み込もうとする姿。そこに涙はないけれども、視聴者はもう泣かずにはいられません。

第24話「卒業式!」

唯たちを徹底して泣かせない演出がすごい。文化祭ライブでは3年生が大泣きして、梓は一切泣いてなかったけど、今回はその逆。原作版では澪がラストでこらえきれずに泣いてたけど、アニメでは一切泣かせない。この徹底してる感じがホント凄いなぁ。

総評

卒業式の日、唯たちが梓に贈った曲が「天使にふれたよ!」でしたが、私たち視聴者は第1話の時点で天使に出会っていたのです。そう、りっちゃんという天使に。美しく輝くおデコも、その太陽のような笑顔も、時折見せる泣き顔も、その胸に宿る強さも弱さも、本当に全てが愛おしい。まさに地上に舞い降りた天使でしたね。

全体的なストーリーとしては、1クールで綺麗にまとまっていた第1期の方に軍配が上がりますが、日常の中に宿る唯たちの可愛さを生き生きと描いて見せたという意味では、第2期の方が格段に優れていました。例えば、澪=恥ずかしがり屋、紬=お嬢様キャラ、というような表面的・記号的な描写ではなく、各キャラクターがまるで本物の人間のように生き生きと描かれていました。そして、それらを実現するためにはやはり、2クールという長い時間が必要だったのでしょう。

けいおん!』第2期が放送されたのが2010年。あれから「日常系」と呼ばれる様々な作品が登場してきました。『Aチャンネル』『ゆゆ式』『きんいろモザイク』『ゆるゆり』『ご注文はうさぎですか?』、実にたくさんの名作が生まれましたが、『けいおん!』の素晴らしさは全く色褪せてはいません。これからもずっと、平成時代を代表するアニメとして語り継がれることでしょう。

残りの話数と劇場版については、また後日感想を書きます。