新・怖いくらいに青い空

アニメ・マンガ・ライトノベル考察

『百合百景』の素晴らしさ

アニメイトなどに行くと、最近やたらと百合短編集みたいのが目立ちます。pixivやtwitterで百合イラスト描いてるイラストレーターの人が単行本を出したり、ある特定のテーマに絞って複数人が共同で描いていたり。そういう作品を手に取って読んでみたりはするんですが、ほとんどの場合は期待外れに終わります。

それは何故なのか。やはり百合というものは、2人の関係性というものを丁寧に描かないと駄目なのだと思うんですよね。短編集だと各話ごとのページ数の都合もあるので、そのあたりがどうしてもテキトーになってしまう。というわけで、百合短編集というジャンルは私の中で、非常に地雷の多いものだという認識になってしまいました。

しかし、今回紹介する『百合百景』は、久しぶりに「当たり」だったというか、自分の中でドストライクな作品でしたね。本作に収録されている作品は全て1ページから3ページほどしかない超短編で、2人の関係性とかぶっちゃげよく分からないです。そこはもう完全に読者の想像にお任せという感じで、あとはもうひたすら萌えるシチュエーションを描いただけの作品です。

百合百景<百合百景> (MFC)

百合百景<百合百景> (MFC)

まさに「逆転の発想」ですね。イラストは舞台も季節感もバラバラで、登場人物も女子高生がメインですが教師や社会人となってるものもあります。まあ、pixivやtwitterで描かれた絵を本にまとめただけと言ってしまえばそれまでなんですが、こういう形の短編集もアリなんじゃないかと思いました。しかも、本編全てカラーになっているのもありがたいですね。

また、次から次へと萌えるシチュエーションを考え出せる作者のセンスにも非凡なものがあります。ここは百合シチュエーションのデパートかと言わんばかりの勢いで、恐る恐る相手と触れ合ってる感じの百合、ナチュラルに距離が近い百合、一方がもう一方を攻め立ててる百合など、実に多彩で見ていて飽きません。まさにタイトルに偽りなしです。

話は超短いのですが、各キャラにちゃんとセリフもありますし、性格等の違いもあるので、単なるイラスト本とは明確に異なります。カップルそれぞれが、それぞれに掛け替えのない物語を持っているのだということが、はっきりと感じられます。

久しぶりに良いものを見たという気持ちになりました。

艦これの長月くんの素晴らしさ

服装  シックで清楚な印象の黒い制服なのにお子様体型な長月くんが着てるというギャップが良い。体格に対して若干サイズ大き目なのが萌える。吹雪型の半袖制服などとは違い、ふかふかで暖かそう。天日干しした布団みたいな匂いしそう。

ボイス  歴戦の戦士のように落ち着いていてカッコいい。「私を凌駕する艦はいないようだな」等、言葉の端々からベテランの余裕と自信が垣間見える。一方で、こっちがちょっかい出すと「へ、変なところ触るんじゃないっ!」と慌てふためく姿が可愛い。

バレンタイン  他の艦娘と違ってチョコくれない。だが、そこがいい! 浮かれた行事になど興味ないという我が道を行くスタイル。でも、「司令官、そんなにがっかり…。なんか、すまん」と申し訳なさそうにしてるのも萌える。

陽炎抜錨  1巻の前半で陽炎に反抗的な態度をとる長月、弱いのに必死に威勢を張ってて子犬みたいで可愛い。砲撃訓練で失敗してしゅんとなる長月くん最高。さっきの勢いはどこ行ったwwwww で、陽炎に慰められて、すっかり従順になる長月くん、ほんとチョロくて可愛いなあ、もう。

という感じで、長月くんは真面目で、頑張り屋で、でも年相応の可愛らしい一面を見せてくれるので、ずっと傍においておきたいという衝動に駆られる。もし提督になって異動があったとしても長月だけはずっと引き連れて行きたいですね。

『月とライカと吸血姫』第1巻感想

月とライカと吸血姫 (ガガガ文庫)

月とライカと吸血姫 (ガガガ文庫)

旧ソ連の宇宙開発

『月とライカと吸血姫』読みました。近年のガガガ文庫の中で最高の作品です。

まず第一に、旧ソ連の宇宙開発を題材にしているのが素晴らしいじゃないですか。本作の舞台はツィルニトラ共和国連邦というソビエト連邦そっくりの国で、アーナック連合王国という国と激しい宇宙開発競争を繰り広げています。共和国連邦は世界初の人工衛星・パールスヌイ1号を打ち上げ、いよいよ次は人を宇宙へ送ろうと試みます。そこで、生物が宇宙空間に行っても大丈夫なのかどうかを確かめるために、吸血鬼の少女・イリナをロケットに乗せてテストを行おうとします。この非人道的なやり方、まさに旧ソ連という感じがしますよね。

これはとある海洋生物学者の講義の受け売りですが、深さ10000メートルの海底を探査しようとした場合、日本やアメリカは12000とか15000メートルの水圧でも耐えられるような頑丈な潜水艦を作るのに対して、ソ連とか中国は10000メートルぎりぎりの潜水艦で「えいやっ!」と潜っちゃうような感じです。アメリカが何度もテストを繰り返して120%安全と分かった上でロケットを飛ばす*1のに対して、旧ソ連は80%か90%くらいでも平気でロケットに人を乗せてたのです。人の命とか人権というものの重みが、日本やアメリカのような民主主義国家とは比べ物にならないくらい軽いのです。とにかくもうトライ&エラーの繰り返し、下手な鉄砲数打てば当たるみたいな世界で、実際にたくさんの人が犠牲になっています。*2

そもそもガガーリンが宇宙に行った時も、成功率は50%くらいだったとかいう話もあるくらいで。どんな犠牲を払ってでも人を宇宙に送り込もうとする執念、これはもう「狂気」と言ってもいいくらいなのですが、その狂気の中で翻弄される人々をライトノベルとして見事に表現したのは、私の知る限り本作だけです。

挿入される史実エピソード

そして第二に、ところどころで挿入される史実を元にしたエピソードが、読者の心をグッと捉えるのです。例えば、主人公・レフが宇宙船の試作機に入る際に靴を脱いだというエピソードがありますが、これは元になったエピソードがあります。人類最初の宇宙飛行士であるガガーリンは、機械に対して敬意を示すためにやはり靴を脱いで試作機に入ったと言われています。

宇宙船に乗ったイリナが地上との交信をする際、宇宙とは何の関係もない料理レシピを暗号として用いていましたが、これも史実に基づいています。ガガーリンが乗る前のテスト飛行では、アメリカに通信傍受されても大丈夫なように無関係な音楽が流されていたようです。そのテスト飛行では、イワン・イワノビッチというマネキン人形が乗せられており、それは本作におけるイリナと同じように、大気圏に突入後にパラシュートで降下し、無事に地上に「帰還」しています。*3

イリナが乗った宇宙船に爆薬が乗せてあったというのも、驚くべきことに史実通りです。犬やマネキンが乗っている宇宙船が誤って敵国領内に落下しそうになった場合、技術が漏えいしないように遠隔操作で爆破できるようになっていたのです。さすがに、人間が乗っている宇宙船にはそのような爆薬は搭載されてなかったようですが。

こんな風に、実際にあったお話を元にして物語が進んでいくので、ソ連の宇宙開発についてよく知った上で本作を読むと、面白さが倍増するのです。

現代の神話

人は何故、宇宙飛行士たちの物語に惹かれるのでしょうか。その理由は、それが単なる物語ではなく、現代の神話とでも言うべきものだからではないでしょうか。ガガーリンが宇宙に飛び立った瞬間、ニール・アームストロングが月に降り立った瞬間、まるで彼らが宇宙に行くことが最初から運命づけられていたかのように、彼らは神話の登場人物となったのです。

イリナもまた、運命に導かれて宇宙へと向かったのです。人類から虐げられ、地球という星に絶望していた少女が、一人の青年と出会うことで変わってゆく。伝承で吸血鬼の故郷とされる月に行きたいというイリナの夢は、いつしか2人の夢になっていました。そんな過酷な運命を背負った者だからこそ、他の誰よりも早く、誰よりも神に近い場所へと行くことができた。誰も到達したことのない宇宙の聖域に入り、神の顔に触れることができた*4のだと、私ははっきりと感じることができました。

『月とライカと吸血姫』の感動的なクライマックス、それを通じて私たちは、作中の世界で神話が創生された瞬間を目撃したのです。しかもそれは、現実世界の神話とは異なり、広く語り継がれることのない、イリナとレフだけが知っている真実の神話となったのです。実にロマンチックではないですか。これが、私が本作を素晴らしいと思う第三の理由です。

ソ連の英雄となったガガーリンは、自由を制限され、再び宇宙へ飛び立つこともなく、1968年、訓練飛行中の事故で亡くなります。宇宙から帰還した後のガガーリンについて見ていくと、イリナとレフの身にこれから降りかかる悲劇を暗示しているようにも思えます。それでもこの2人ならきっと困難を乗り越えられる、笑ってハッピーエンドを迎えることができるはずだ、と強く願わずにはいられません。4月に発売される第2巻も読みたいと思います。

*1:そこまで万全を期しても往々にして事故は起こる。

*2:もちろん、これはあくまでも米ソ冷戦期の話であって、現在のロシアのロケットは非常に安全なものになっている。

*3:作者はあとがきで、イリナのモデルは存在するがそれは人間ではないと述べているが、おそらくこのマネキンがモデルと思われる。

*4:http://www.davidpbrown.co.uk/poetry/john-magee.html

『けものフレンズ』のツチノコは言動が意味不明すぎて萌える

かばんちゃんとサーバルちゃんに会った瞬間、叫び声をあげて逃げ出すツチノコ「アアアアアアア!!!」「な、なな、なんだお前ら!」

  • 普通の声じゃなくて、文字として表すのが難しい特徴的な奇声をあげるツチノコ、かわいい。

「そこ閉めたのかコノヤロー!!」「くそぅ!あの扉が閉まれば簡単に出られなくなるから、わざわざ挟んどいたのにぃぃぃ!!」

  • 喉の奥から絞り出すような声でイライラを表現するツチノコ、超かわいい。

「見れば分かるだろツチノコだよっ!」

  • 誰が見ても「見れば分かる」状態じゃない態勢。壁に隠れるシャイなツチノコかわいい!

壁を引っ掻くサーバルちゃんにキレるツチノコ「ああああああああああ!!!何してんだお前!ここは貴重な遺跡だぞぉ!!」「うぬぬぬぬぬ…くそぅ!…ついて来い!」

  • サーバルの予想外の行動に慌てふためくツチノコ、クッソかわいい!

「昔作られた遺跡だっ」

  • 急に優しい声色になるツチノコ、クソワロタ。

「お前の鼻は、飾りかーっ!!!」

  • 急に大声を出すツチノコ、意味不明過ぎて萌える。

ジャパリコインを見つけて興奮するツチノコ「ウオオア○▼※△☆▲※◎★●ハッ!!!」

  • もはや何言ってるか分かんなくて超萌える。

「これはジャパリコインだ!昔パークで使われていた通貨で、あぁぁ、通貨って言うのはだなぁ、今のジャパリまんのように、いろんなものと!」

  • 興奮してまくしたてるツチノコ、マジかわいい!

我に返って急に恥ずかしがり「何だコノヤロー! オ"レ"ェ"●&@*+◇※▲シャー!!!」

  • 言動がトリッキーすぎる。萌える。

ようやく外に出てはしゃぐツチノコ「うおー!スゴイゾ!アハハ#&@*※▲+◇∴」

  • テンションの上がり下がりが激しくてホント萌える。

「う、う、うん! た、たぶん正式に使われる前に例の異変が起きて、だから地図には載っていなかったんだろう」

  • あとで我に返って恥ずかしがるのが超かわいい。

「今日は…良かった…。機会があれば、またな!」

  • 最初は2人のことあれだけウザがってたのに、たった一日で超デレてるのが可愛い。壁に隠れながらしっぽ振ってるのがマジで萌え死ぬwww

という感じで、『けものフレンズ』のツチノコは、ことあるごとに挿入される謎の奇声と、意味不明な行動が最高にかわいいです。小林ゆうグッジョブとしか言いようがない。

『けものフレンズ』のハシビロちゃん

けものフレンズ』を見て、去年上野動物園で見たハシビロコウのことを思い出したので、その時に撮った写真を見せるよ。

すご~い!

基本じっとして動かないけど、時々、こんな風に羽を広げたりするよ。