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新・怖いくらいに青い空

アニメ・マンガ・ライトノベル考察

それでも「生きることは素晴らしい」と言う究極の「人生讃歌」―『Angel Beats!』私論

2010年、衝撃的な怪作が誕生した。『Angel Beats!』である。この作品が各所で賛否両論を巻き起こし、良い意味でも悪い意味でも2010年前半に大きな注目を集めたことは、皆の知るところであろう。この作品については他のブログでさんざん語り尽くされているので、私が新たに述べることはそう多くない。ここでは、私が気になった点をいくつか述べることとする。

さて、この作品のテーマについてだが、私は最終回の天使の言葉にそれが集約されていると思う。

あなたが信じてきたことを、あたしにも信じさせて。生きることは、素晴らしいんだって。

あの「死後の世界」にやってきた人はみんな、満足に青春を送れなかった人ばかりである。彼らはみな、不幸な環境のもとに生まれ、辛いことや悲しいことを経験し、理不尽に死んでいった。それでもなお「生きることは素晴らしい」と言えるのか、という究極の問いが投げかけられている。確かに人生には辛いことや悲しいことばかりある。しかし、愛する人や家族・仲間と共に「生きる」ということは素晴らしいのだと、彼らは言う。これぞまさにAngel Beats!のテーマである「人生賛歌」なのである。綺麗事に聞こえるかもしれないが、こういう荒んだ時代だからこそ誰かが言わなくてはならないことでもある。

しかし、こういったテーマを扱う作品だからこそ、色々と批判を受けることが多かったのだろう。私個人としては第9話のドナーカードの件について「ちょっとおかしいんじゃないの」という印象を持った。確かに、ドナーカードに登録して誰かのためになろうという気持ちは大変結構である。しかし、ドナーカードに登録することがそのまま、「報われた気持ち」とか「生きた証」といったものに直結するという考えは間違っている。なぜなら、小さなカード一枚で「生きた証」が得られるなんて思うのは、自己満足感から来るまやかしでしかないからだ。みなさんはどうお考えだろうか。

色々考察したい点は他にもあるが、いずれにしてもAngel Beats!が2010年を代表するアニメと言われるのは間違いないだろう。また、この作品で欠かせなかったのは、各場面で流れる音楽だったことは言うまでもない。これについては別の機会にまた考察する事としよう。