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新・怖いくらいに青い空

アニメ・マンガ・ライトノベル考察

『安達としまむら』第3巻―圧倒的な「温度差」の描写に惚れ惚れする

ライトノベル 安達としまむら

安達としまむら』第3巻まで読みましたが、相変わらず凄いですね、安達さんの挙動不審ぶりが。四六時中しまむらの事ばかり考えてる安達が可愛くもあり、しまむら依存度があまりにも高くて心配になるほどでした。

前巻でクリスマスが来たのだから、次はこれしか無いっしょとばかりにやってくるバレンタインを描くだけの一冊ですが、安達さんの症状がさらに悪化しているのでもうダメだこの子感の高まりが大変なことに。しまむらさんにべったりというか、自分でちょっとおかしいんじゃないかと思いながらも大好きすぎる依存っぷりがメーターを振りきりそうな勢い。人の優しさを知らなかった子が誰かに転んだら大変なことになった見本みたいになっています。
安達としまむら 3 / 入間人間 - FULL MOON PRAYERより引用)

でも、10日間しまむらしか見えていない安達と、この10日間もいつもの日常で、どちらかといえば安達以外といた方が彩りがあるしまむら。この温度差がちょっと辛くなってきた。
特に安達ちゃん。テンパりすぎててべら棒に可愛いけど、ずっと読んでると不安になってくる。誰か落ち着けに行ってあげてと思っても、彼女が信頼する人間って誰も居ないだよね。もし、しまむらが離れていってしまったらどうなってしまうんだろう……。
「安達としまむら3」入間人間(電撃文庫) - いつも月夜に本と酒より引用)

本作の一番の特徴は、この2人の間の「温度差」を淡々と描いているところにあると思います。『きんいろモザイク』のように、綾の百合的妄想と陽子の鈍感さをコメディに落とし込んでいるわけでもなく、『ゆるゆり』のように、結衣先輩に対するちなつのガチレズっぷりをネタにしているわけでもない。安達としまむらの間に純然と存在する「温度差」を、ただあるがままに描くだけ。しかも、安達視点のストーリーを描いた後に、同じストーリーをしまむら視点で描くという手法が、ますますこの温度差を強調しているように思います。

安達がブッ飛んだガチレズキャラとして描かれていれば、あるいは、しまむらが安達からの好意に気付かない鈍感キャラとして描かれていれば、本作はただの百合コメディとして消費されるだけだったでしょう。2人の間に存在する「温度差」を、ギャグやコメディに落とし込むのではなく、ただ淡々とこれでもかと描いて見せたという点が、他の作品と本作とを分ける大きな特徴と言えるでしょう。

であるからこそ、安達の行動はどこか危なげで、痛々しくもあります。しかし、そんな安達がたまらなく可愛くもあり、2人の関係性に惚れ惚れしてしまうこともまた事実です。2年生になった2人が今後どうなっていくのか、これからも目が離せない作品となりそうですね。

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