新・怖いくらいに青い空

アニメ・マンガ・ライトノベル考察

『帆船これくしょん-帆これ-』という妄想

艦これ』の世界では、その昔、帆船の魂を体に宿した帆船娘が活躍していた、という勝手な設定を作って妄想しています。近代的な艦娘が登場する以前の『帆船これくしょん-帆これ-』の時代、様々な帆船たちが活躍していましたが、その中でも私のお気に入りは、ビクトリアちゃんとカティーサークちゃんです。

1519年、ビクトリアちゃんを含む5人の帆船がスペインから世界一周航海に出発しました。しかし、5人の仲は最悪で、航行中も喧嘩ばかり。さらには、厳しい航海の中でサンティアゴちゃんが沈没。再び発生した大喧嘩の末、サン・アントニオちゃんが勝手にスペインに帰ってしまいます。残された3人は、マゼラン海峡を通過して太平洋に到達し、抱き合って喜びを分かち合います。しかし、喜んだのもつかの間、広大な太平洋を横断する間、壊血病と食糧不足が3人を襲います。瀕死の状態でようやくフィリピンにたどり着いた時、3人の間には固い友情が生まれていました。そこで元気を取り戻し、スペインに向けて再出発を始めようとした矢先、指揮官が殺され、さらにコンセプシオンちゃんも航行不能に陥ってしまいます。失意の中、トリニダードちゃんとビクトリアちゃんは懸命に航海を続けますが、ついにトリニダードちゃんも失われ、とうとう生き残ったのはビクトリアちゃんただ一人になってしまいます。最後の力を振り絞って何とかスペインに帰還したビクトリアちゃん。世界初の地球一周航海という大偉業を国中が讃えましたが、ビクトリアちゃんが航海中に失ったものはあまりにも大きく、彼女の顔に笑顔が戻ることは二度とありませんでした。生まれ変わったビクトリアちゃんは、静かに、けれども強い決意を秘めた声で「船長、今度こそ、みんなで一緒に世界を一周しましょうね」とささやきます。

1869年にイギリスで生まれたカティーサークちゃんは、中国やインドから紅茶をイギリスへ運ぶティークリッパーとして活躍しました。彼女の前に立ちはだかったのが、最大のライバル・サーモピレーちゃんでした。いかに速く紅茶をイギリスへ運ぶか、毎年のように激しいデッドヒートが繰り広げられましたが、勝つのはいつもサーモピレーちゃん。カティーサークちゃんは毎年、悔し涙を流しました。特に1872年には、途中までカティーサークちゃんが圧倒的な差をつけて前を行っていたのですが、悪天候によって舵が破損してしまい、サーモピレーちゃんに抜かれてしまいました。「結局サーモピレーちゃんには勝てなかったけど……私、頑張りました」。次こそは、とリベンジに燃えていたカティーサークちゃんでしたが、スエズ運河の開通と蒸気船の台頭によって次第に活躍の場を奪われていきます。2人はオーストラリアから羊毛をイギリスに運ぶ航路に転属になり、そこではカティーサークがサーモピレーを圧倒して雪辱を果たしました。「私の活躍、見てくれましたか? まだまだ蒸気船には負けません!」 そう言っていた彼女も結局蒸気船の台頭には抗えず、様々な航路を転々とした後、最後は学校の練習船としてその生涯を終えました。生まれ変わったカティーサークちゃんには、今度こそ、誇り高いティークリッパーとして思う存分生涯を全うして欲しいと思います。

こんな感じで帆船の生涯に思いをはせると非常に萌えます。大航海時代以前の船や軍艦については、まだまだ勉強不足なので、これから色々と調べてみようと思います。