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新・怖いくらいに青い空

アニメ・マンガ・ライトノベル考察

『いでおろーぐ!』第3巻感想

ライトノベル いでおろーぐ


反恋愛主義者のくせに相変わらず高砂も領家もスゲー軟弱だよなあ。第3巻も結局恋人どうしで痴話喧嘩してイチャイチャしてただけじゃねーか。ホント言ってる事とやってる事が完全に矛盾してる。でも僕はそれで良いんじゃないかと思う。人間とは本質的に矛盾を抱えて生きている存在だから。

例えば、たいていの親は子どもに対して「危険なことするな」「勉強しろ」「夜遅くまで遊び歩くな」とお説教しているが、「いやいや自分も子どもの頃は似たようなことしてたんやろ、自分のこと棚に上げて何怒ってんねん」とツッコミを免れない。けれども、親というのはそういう生き物なのだと思う。自分のことを棚に上げてでも子どもに口酸っぱく言わなければ気が済まないのが親というものなのだろう。

恋愛・生殖という観点から見ても、人間ほど矛盾に満ちた存在は他にない。リチャード・ドーキンスによると、生物とは一つの例外もなく遺伝子に操られた乗り物(ヴィークル)に過ぎない。全ての生物は、自らの遺伝子の生存と継承だけのために生きている。しかし、人間という種だけが、その遺伝子に反逆して、自ら進んで人間という種を絶滅させることができる。他の動物ならそんなことはまず有り得ない。仮にかつてそんな生物がいたとしても、彼らは進化の過程でとうの昔に絶滅してしまって、今日の地球には生き残っていないだろう。何億年もの時間をかけて生存に適した遺伝子が選択されてきた帰結として、今の地球の生態系があるのだから、人間も当然その自然の摂理に従って生きているはずである。にも関わらず、進化の過程で知性を獲得した人類は、自らの手で進んで自らを滅ぼすことができるという、生物として最大級の矛盾を抱える存在となったのだ。

今はまだ生物としての生存本能の方が勝っているので人間は絶滅せずに済んでいるが、領家が唱えているような反恋愛主義・反出生主義の思想が人類の中で支配的となれば、後はもう彼らが核ミサイルのボタンを押すだけで、あっという間に人類は絶滅するだろう。

作者は読者へのメッセージとして次のような言葉を述べている。

この作品は、一般的に受け入れられている「恋愛」という概念に疑問を抱いた高校生たちが、世界に対して立ち向かっていく物語です。登場人物の突拍子もない発想に笑い、呆れながらも、なぜか少し共感してしまう、そんな小説になっていたら幸いです!
いでおろーぐ!より)

この作者の試みはおおむね成功していると言っていいだろう。領家たちの活動は、子孫を残すという生物として当たり前の活動に真っ向から否定する。これは生物として究極的に矛盾した行為だ。にも関わらず、彼女たちの活動に「なぜか少し共感してしまう」のは、人間が元々そうした矛盾を抱えて生きている存在だからなのかもしれない。だから、高砂と領家が教義に反してイチャイチャを繰り返すのを見ても、それがおかしな事だとは思えないのだ。