新・怖いくらいに青い空

アニメ・マンガ・ライトノベル考察

『響け! ユーフォニアム』原作小説の小笠原晴香部長の可愛いシーン(1)

『響け! ユーフォニアム』の原作小説を2巻まで読みました。全体の感想については後日また記事を書こうと思いますが、今日は小笠原晴香部長についてお話します。だって、晴香部長が可愛すぎるんだもん。夏紀先輩、ごめん。以前こんな記事書いときながら、部長に浮気しちゃったわ。それも全て、部長が可愛すぎるのがいけない。*1

じゃあ、具体的にどういうところが可愛かったのか、これから説明していきますね。まずは、部活やめますと言って音楽室を出て行った葵ちゃんを追いかけるシーン。

「小笠原部長だって、あすか先輩にはないいいところをたくさん持ってますよ。私たち後輩は、みんなちゃんと知ってます」
「じゃあそれを行ってみいや!」
感動して納得してくれると思いきや、予想外の反応をされた。
「そ、それはですね……」
久美子の口端がひくりと引きつる。
「ほら、先輩って気配りもできて優しいし、」
「ほかには?」
「ほかには……ほら、後輩にもちゃんと挨拶してくれるし、優しいじゃないですか」
「ほかには?」
「え……あ! あの、あれですよ。たまに差し入れとかもしれくれて、優しいですよね!」
「優しいしかないやんか!」
カッと目を見開き、小笠原部長が立ち上がる。その迫力に、思わず久美子は後ずさった。彼女の目元は赤く腫れ上がっており、もともと細い目がさらに細くなっていた。
「優しいなんてなあ、褒めるとこがないやつに言う台詞やろ? うち、わかってんねんからな!」
(第1巻、158~159ページ)

ここはアニメ版とだいたい同じですね。違うのは晴香部長が関西弁になってるところ。知ってる方も多いと思いますが、原作は久美子以外の登場人物はたいだい関西弁なので。標準語のアニメ版と比較するとまた違った味があっていいですね。

このシーンの後、アニメ版では、あすかがやってきて口論になって、部長が学校を休んで、香織先輩が家に慰めに行って、という流れになります。でも原作では、あすか先輩が来るところまでは同じなんですが、その後が違います。では、どうなっているかというと…

「あかんで晴香、その情緒不安定なところ直さんと。なんたって部長やねんから」
「うっさいな!」
すねたように小笠原がそっぽを向く。その耳元で、あすかはささやく。
「でも、そんなところも好きやけど」
ニコリと笑みをこぼすあすかに、小笠原の顔が一気にゆで上がった。
「あ、あほなこと言わんとって!」
「もう、うれしいくせに」
「うれしないわ!」
全力で否定しているが、それが照れ隠しであることは火を見るよりも明らかだ。どうやら部長の機嫌も直ったらしい。久美子はそっと息を吐く。
(第1巻、160~161ページ)

…って、おい! チョロすぎやろ!

立ち直るの速! ちょっとあすか先輩に慰められただけで立ち直るチョロい晴香部長かわいい~!

原作第1巻とアニメ版はこんな感じでところどころ違ってるのですが、どちらの方がいいと単純に言える話ではありませんね。ただ、このシーンに限って言えば、香織先輩が部長を慰めに行くシーンを付け足すことで、それが第11話の再オーディションの場面とかで効いてきて、作品により一層の深みを与えてるから京アニグッジョブ!と思う人もいるでしょう。

でも今にして思えば、アニメの方のあすかが「だったら晴香も断れば良かったんだよ」とか言って部長を突き放すシーンは何か違和感があるんですよね。あすかは相当計算高い人ですから、ここで晴香部長をさらに追い詰めてしまうと部にとってマイナス、とか思ってるはずなので。だから、晴香部長のためというよりもむしろ部や自分のために「そんなところも好きやけど」とか言って立ち直らせるという方が、やっぱりしっくりくるなあと思いました。で、そんなあすかの本心を知ってか知らずか、ちゃっかり機嫌直ってる晴香さんマジかわいいっす。完全にあすかに飼い慣らされてますね。

はい、次のシーン行きますよ。原作第2巻、去年退部した希美という2年生が部活に復帰したいと申し出て、あすか先輩と話し合ってる裏で、ため息をつく晴香さん。

「はあー、やっぱりみんな頼るのはあすかやねんなー。うちはどうせいっつも蚊帳の外や。役立たずの部長や」
世界中の空気を全部吐き出してしまうんじゃないかと思うくらい、そのため息は深かった。これは、触れてやるべきなのだろうか。脳内でぐるぐると思考しながら、久美子は身じろぎする。
(第2巻、87ページ)

はあ~(恍惚)。かわいいな~。「世界中の空気を全部吐き出してしまう」くらい深いって、どんだけ深いため息なんだよ。というか小説版は、基本的に全て久美子視点で書かれてるので、頼りない部長が後輩に気を使われてる感じが強すぎて、なんかもう…いたたまれない気持ちになる。で、その後、久美子が晴香に質問するシーンでは…

「みぞれ先輩と希美先輩、どういう関係なんですか?」
「うーん、それはなあー……あんまり上手く言えへんなあ」
小笠原はそう言って、わずかに眉尻を下げた。ごまかしているわけではなく、本当に説明できないようだった。使えへん部長でごめんな、どうせうちなんて……と彼女は再びネガティブ思考を直進している。こうなってしまった小笠原はあすかでないと修正不可能だ。彼女の口からこぼれる発言を、久美子はほとんど聞き流す。いやいや、気にしなくても大丈夫ですよ。そう気休めのような言葉をかけてはみたが、おそらく彼女の耳には入っていないだろう。
(第2巻、89ページ)

部長どんだけネガティブなんだよ! ていうか久美子、完全に呆れてるやん! やれやれ、この人はまったく、とか心の中で思ってるパターンだよね、これ。あんまりにもネガティブすぎて後輩にまで心配されてる晴香さんホントかわいい。

そして、何やかんやあって関西大会の本番当日になり、晴香が部員を前にして「北宇治ファイトー!」「オー!」とかけ声を言う場面。

「えー、緊張しないようにしよう。その、とにかくいつもどおり。平常心で頑張りましょう」
「いやいや、アンタめっちゃ緊張してるやん」
横にいたあすかが、茶化すような台詞を吐く。それに釣られるようにして、周りからどっと笑い声が上がった。重苦しかった空気が、一瞬にして晴れやかなものとなる。
(第2巻、288ページ)

う~ん、相変わらず頼りないな~。で、その後、あすかが「ここまで来れたのも滝先生のおかげ」とか「ここで満足しないで、やるからには全国目指そう」とかいう演説をし始めます。ようやくそれが終わって、あすかが晴香に言います。

「じゃ、晴香。例のやつよろしく」
「えっ、もうあすかがしたらええやん」
「いやいや、こういうのは部長の役目やからさ」
そう言って、あすかはウインクしてみせる。小笠原はしぶしぶうなずくと、それから大きく息を吸い込んだ。
(第2巻、289ページ)

ほら、もーっ! 晴香部長を差し置いて演説なんかするから部長すねちゃったじゃん! でも晴香部長が可愛いから許す! しかも、そのおかげで部長の緊張も取れたようで何よりですね。やっぱりあすかが部長を完全に手なずけてますね。

という感じで原作小説の小笠原晴香部長は、アニメ版以上に頼りなさそうな感じ全開で、後輩からも心配されてるし、完全にあすか先輩に飼い慣らされてるし、ほんと可愛すぎですわ。なので、アニメ見て晴香さん大好きになった人は是非原作も読んでみると良いんじゃないでしょうか。第3巻以降についても、また記事書きます。

*1:誤解が無いように言っておきますが、原作小説の夏紀先輩もアニメと変わらずメチャクチャ可愛かったです。というか第2巻は、2年生組全員かわいすぎんだろおおおおおおお!!!って叫びたくなるような内容なので、それについてはいずれ別の記事で書きたいと思います。