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新・怖いくらいに青い空

アニメ・マンガ・ライトノベル考察

『迷家-マヨイガ-』総評

アニメ

序盤から中盤にかけて

いやぁ、6話くらいまでは普通に面白かったですよ。例えば、第5話で登場人物ほぼ全員が参加してコイツが怪しいアイツが怪しいああでもないこうでもないと喧々諤々の議論を重ねた挙句、結局何も話が進展しないままAパート終わっちゃった時は、マジかよ…と思いつつも、これから一体どうなるんだろうというワクワク感を覚えました。また、第5話までは「らぶぽんウザすぎ!てめえがまず処刑されろよ!」とか思ってたのに、第6話で彼女の回想を見ると、これまでの悪行全て水に流せるくらい一気に親近感が湧いてきて、描き方次第でこうも印象って変わるんだなあという新鮮な驚きを感じました。

ところが、第7話くらいからどうも雲行きが怪しくなる。まず、真咲ちゃん魔女狩り裁判のシーンだけど、「村の近くで行方不明になった女の子と名前が一緒」「真咲には化け物が見えてないらしい」という情報だけで、大の大人が揃いも揃って「真咲は幽霊」って決め付けてかかるのは、あまりにも非常識で理解に苦しみますね。あと、8話以降の中だるみ感もかなり酷くて、真咲が何だかよく分からない曖昧な受け答えしてる場面をずーっと見せられて、気が付けば真咲に対して言いようのないイライラ感を覚えている自分がいた。いや、もちろん、真咲さんは自分の置かれてる現状を本当に理解してなかったので、こういう受け答えになるのは仕方ないんだけれど、それが2~3話ずっと続くと正直キツいし、もうちょっと脚本どうにかならなかったのかよと思います。

最終話について

それでもまだ、このアニメに期待している自分もいた。こはるんという真のラスボスも登場し、最終回に向かって徐々に話も盛り上がって、さあ、いよいよクライマックスだ!…と思って楽しみにしていたのに、その期待はあっけなく裏切られたのでした。まず、栄えある最終回のAパートを飾るのが、嫉妬に怒り狂った颯人とその巨大化ナナキという時点で萎えるなあ。散々話引っ張ってきて、結局それかよ。そしてラスボスこはるんには、最後まで悪役に徹して欲しかったのに、急速に年老いていくパパを助けるのが目的だったと分かり非常に残念。僕は、自分の野望のために次々と年下男子を手駒にしていく鬼畜こはるんがもっと見たかったんだよ!*1 何がすっとこどっこいだよ、こっちは椅子からすってんころりだわ!

あと、リオンちゃんの「これから死ぬ人が見える」設定って一体何だったの? 第1話から思わせぶりな発言を繰り返して物語のキーになるのかと思いきや、最後らへんはナンコさんと一緒に行動してる普通の女の子になってんじゃねえか。*2 そしてやっぱり、美影とらぶぽんは罰を受けて然るべきだと思いましたね。あれだけ他人を振り回しといて、何のお咎めもなく意気揚々と現実世界に戻っていくのは、なんか納得できないし、お前ら居なければこんなに話拗らせずに済んだんじゃね?って思ってしまう。

また、「ナナキを切り離す」「ナナキを受け入れる」という物語の根幹に関わる設定についてもツッコミどころやよく分からない点が多い。第11話までは「村に残って過去のトラウマから目を背けてしまったら、生きる気力まで失ってしまうからヤバい」みたいなことを言い続けていたのに、最終回では急に「ナナキを切り捨てたことで自分を客観視できるようになり研究が進んだ」とか「辛い時に逃げ出すことの何が悪いの?」とか言い出して村に残る奴もいて、結局最後には「トラウマは人それぞれで違うので、それらを十把一絡げにしてああしろこうしろ言うのは間違ってる」という感想しか残らなかった。約3カ月見てきて、最後の最後で出た結論がこれか! はあ…。ていうか、村に残って無気力になってる奴とそうでない奴の違いが最後までよく分からなかった。たとえナナキを切り捨てても、現実から逃げ出したいというモチベが高ければ、無気力にならずに済むのか? こはるんのお父さんが現実世界に戻ってるのに、無気力になった奴らが村に留まり続けてるのは何故か? 前者は、完全にナナキを失ったから現実に戻れたのか? だとしたら、最終回付近で無気力になってた奴らも、いずれ村から消えて現実世界に戻ってくるのか? ナナキを受け入れた人もそうでない人も、時と場合によって納鳴村に行けたり行けなかったりするのは何故か? トンネルの先にある村と納鳴村の違いは何か?

まとめ

僕は、このアニメのポイントは結局次の2つに集約されてたと思います。まず第一に「納鳴村とは何か、ナナキとは何か」という謎の解明。そして第二に「ツアーの参加者たちは過去とどのように向き合い、今後どのような人生を歩んでいくのか」という点です。前者については、上でも述べた通り、細かい部分でよく分からない事が多すぎるし、なんか非常に消化不良な感じがします。そして後者についても、村に残留した組と社会に戻った組の両方とも、マジでこれからどうやって生きていくん?これでホントに良かったのか?という疑問しか湧かない。要するに、最終回終わっても全然何も解決してないように見えるし、前半が結構面白かった分、そこからの急降下でガッカリ感が半端ないです。第6話の時点では、まさかここまで酷いことになるとは思いもしなかった。残念。

*1:ちなみに公式HPによると、こはるん26歳、ヴァルカナ25歳、ジャック16歳、氷結15歳、という事になっています。

*2:どうやらノベライズの方で、リオンの本編では語られなかったエピソードが描かれるそうなので、気になる方は小説を読みましょうということなのかもしれません。正直、ノベライズ版が出るということが分かっただけでも安心した。これがあるのと無いのでは印象がだいぶ変わる。