新・怖いくらいに青い空

アニメ・マンガ・ライトノベル考察

2016年下半期アニメ総評

2016年下半期に見たアニメの総評です。

上半期のアニメの総評はこちら→2016年上半期アニメ総評 - 新・怖いくらいに青い空

Re:ゼロから始める異世界生活

ナツキ・スバル、愚かだねえ…。やることなすこと全てが論理的じゃない。ただ感情に流されるまま、何も考えずに行動して、自分で自分の首を絞めていく。人の話を聞かずに突っ走って、闇雲に暴れまわって、他人を傷付け、自分を傷付けていく。そんな愚かさを反省するどころか、完全に開き直って、自分の心の醜い部分を臆面もなく曝け出して、周囲に喚き散らして、ますます自分を窮地に追い込んで行く。本当に、愚かだねえ…。

でも、愚かさもここまで突き詰めれば、伝説になる。特に、スバルが王都で心身ともに追い込まれていく第13話から第18話までは、悔しいけれど、メチャクチャ面白かった。その中でも第13話は、極限状態でただ闇雲に暴れることしかできなかった他の回とは異なり、ほぼ100%スバル側の落ち度、身から出た錆、弁明の余地なしという感じだったので、スバルの痛々しさと見苦しさが、その迫真の顔芸とも相まって、一番鮮明かつ印象的に描かれており、本作の白眉とも言える回だったと思う。

この美術部には問題がある!

以前の記事でも書いたように、内巻君が可愛すぎて生きるのがつらい…。次点で、宇佐美さんもメチャクチャ可愛かった。でも、他のキャラクターがすごく微妙。特に、部長とか立花先生はちょっとウザすぎて、こんなタイプの人とはなるべく関わり合いたくないなあって思ってしまった。

NEW GAME!

第4話で八神さんが「青葉が楽しそうな顔してるうちは大丈夫。ゲームがつまらなかったらあんな顔しない」って言ってたのが何故か印象に残っている。なんというか、「自分達の作ったものがちゃんと売れるか?」みたいな細かい心配をするのは、八神や遠山みたいにある程度キャリアを積んだ人の仕事で、入社して日が浅いうちはただ無我夢中で楽しみながらスキルを身につければそれでいい、という作中の仕事観みたいなものがよく表れてる台詞だと思うのだ。

一番好きなキャラはぶっちぎりで八神さんだった。良くも悪くもガサツであっけらかんとした性格のように見えて、意外とシャイで繊細だったりするのが可愛いのよね~。

91Days

最初は復讐のためにアヴィリオがネロに近づいただけだったのに、いつしか憎しみや怒りを超越した複雑な関係性になっていくというストーリーは、『僕だけがいない街』とも似ている。大切な人を奪われ、復讐を果たした後に、抜け殻のようになってしまったアヴィリオと、全てを失ってもなお「生」に執着し続けたネロ、という対比も良かった。

ラストの浜辺のシーンでネロはアヴィリオを殺したのだろうか。私は殺したと思う。ガラッシア・ファミリーの関係者(?)がネロ達の後をつけていた描写は、「ネロが殺そうが殺すまいが、どのみちアヴィリオは死ぬしかなかった」ということを表しているのだと思う。

第4話が丸々全て蛇足だったり、最終回が謎演出すぎて意図がよく分からなかったり、いくつかの不満点はあるが、何やかんやで最後まで楽しめた。

クオリディア・コード

アニメ『クオリディア・コード』総評 - 新・怖いくらいに青い空

上の記事に書いた通り。残念だねえ。期待していたのになあ。

クロムクロ

個人的にロボットアニメはあまり好きじゃないし、正直、2クールもかけてやる内容かと思う時も多かったけど、結局最後まで視聴できた。かと言って特段面白かったかと言えばそういうわけでもなく、終始可もなく不可もなくという感じ。

バーナード嬢曰く。

1話3分という短い時間でさわ子と神林が早口でセリフを捲し立てているのが気持ち良かった。久しぶりにキタエリの当たりキャラを見た、っていう感じ。エンディング曲も良かった。

ブレイブウィッチーズ

びっくりするほど前作と差があるなあ。作画にしろ、演出にしろ、ストーリーにしろ、本当に全てにおいて、『ストライクウィッチーズ』の方が優れていた。まあ、若干の思い出補正があるのは否定しないけどね。

才能のない人が努力によって這い上がり仲間から認められるまでを描くというのは分かるんだけど、主人公だけじゃなくて他キャラクターについても深く掘り下げていかないと、一体何のための502なのって話になる。視聴者に対して、【1】まずこの子はこんなキャラですってのを見せて、【2】次に実はこんな意外な一面もあるんだよという部分を見せて、【3】最後にそのキャラクターを形作る芯となる部分まで見せていく。501の方は、いつもハチャメチャなことやっているようで、そのへんはしっかりしていたんだけどなあ。

好きなキャラクターはロスマン先生。普段はクールで厳しい先生なのに、クルピンスキーがキャビアを台無しにした時は、メッチャ取り乱してて可愛い。だからこそ、もっと内面を掘り下げて描かないとダメだ。今作は各キャラせいぜい【2】くらいまでしか表現できてません。残念。

終末のイゼッタ

世間ではイゼッタとフィーネの百合描写が素晴らしいと言われているけれども、個人的にはその周辺に魅力的なキャラクターが多くて群像劇的な見方もできる作品だと思った。敵であるゲール側のキャラも、祖国への忠誠心や野望や復讐心など、それぞれ異なる動機に突き動かされて戦っているのがきちんと描かれ、作品に重厚感が増していた。台詞のほとんどないモブ(例えば、最終回でジークハルトを撃った新兵)に至るまで、かけがえのない物語を背負って生きているんだということが感じられた。

戦争映画で例えるなら、『史上最大の作戦』とかに近いものがあると思う。敵・味方に関係なく、それぞれの登場人物にそれぞれのドラマがあって、単なるイゼッタとフィーネの物語として終わっていないのが素晴らしい。

響け!ユーフォニアム2

『響け! ユーフォニアム2』総評 - 新・怖いくらいに青い空

上の記事で述べた通り。2016年のNo.1アニメでした。

フリップフラッパーズ

まだ最終回は見てないので、見終わったら感想書くかもしれない。

毎週楽しみに見ていた作品だけど、ちょっとよく分からないなあ、というのが正直なところ。ピュアイリュージョンとは一体なんなのか? ヤーコプ・フォン・ユクスキュル(作中に出てくるユクスキュルの元ネタと思われる人物)が提唱した「環世界」という概念と関係ありそうですが、まあ、よく分からないですね。