新・怖いくらいに青い空

アニメ・マンガ・ライトノベル考察

『きみはかわいい女の子』の小枝ちゃん可愛すぎ問題

古今東西、小さいものは可愛いと決まっているのです。枕草子にも「小さきものは、みなうつくし」と書かれているくらいですから、それはもう不変の真理と言ってもいい。というか、ちっこくてかわいい女の子と付き合いたいって妄想したことない男っているんですかね? それくらい、「小さい」ということは男性読者への希求力がハンパないのです。

きみはかわいい女の子(1) (講談社コミックス別冊フレンド)

きみはかわいい女の子(1) (講談社コミックス別冊フレンド)

ここで紹介する漫画『きみはかわいい女の子』のヒロイン・小枝つぐみちゃんは、背が小さくてちんちくりんなヒョロガキで、それゆえに自分に自信が無くていつも卑屈でおどおどしていて、それはそれは文字通り最高にかわいい女の子です。第1巻の時点では小枝ちゃんは、文字通り小枝みたいな自分の体型にコンプレックスを抱いていて、自分には恋愛など無理と思っています。しかし、隣のクラスの正宗君と偶然知り合いになり、交流を深めていく中で両想いの関係になり、やがてカップルとなるのですが、その一連の過程における小枝ちゃんがとにかくもう可愛くて可愛くて、頭おかしくなりそうになるのです。

正宗君が何かする。それを受けて小枝ちゃんが顔真っ赤にしてテンパる。小枝ちゃんが正宗君のために勇気を出して何かやろうとする。そんで心臓バクバク言わせながら一歩一歩ぎこちなく前に進んでいく様子。小枝ちゃんの言動全てがもう可愛すぎる。

はっきり言って、ストーリーは「嘘だろ」ってツッコミたくなるくらいテンプレしかありません。夏祭り、文化祭、クリスマスといったお馴染みのイベント。風邪引いた相手の家にお見舞いに行くとか、一緒に試験勉強するとか、二人の関係を冷やかしつつも暖かく応援してくれる親友の存在とか、どこかで見たような設定・展開しかありません。

だがしかし、そんなことは小枝ちゃんの可愛さの前では全く気にならなくなります。ありきたりな設定もテンプレ展開もご都合主義も、もはやどうでもいい。ただひたすらに小枝ちゃんが可愛くて悶絶してしまうという漫画なのです。料理で例えるなら、手の込んだ調理工程も高価な調理器具も特別な隠し味も一切使わない、ただ最高の食材にごく一般的でありふれた調理を施しただけの料理みたいなものです。

その最高の食材こそが、小枝ちゃんのキャラクター設定なわけです。まさに可愛いは正義、小さいは正義です。