新・怖いくらいに青い空

アニメ・マンガ・ライトノベル考察

相撲協会の謝罪が白々しいと感じるのは過去の八百長を認めようとしないから

結局これに尽きると思います。

もちろん、暴力と八百長問題は基本的に別物だと思うし、暴力の方は完全な犯罪で、2007年には死者まで出しているのでより深刻な問題だと思うけれど、結局、過去の八百長を認めようとしない相撲協会が何度「申し訳ありませんでした」「再発防止に努める」と言ったところで全く心に響かない。社員の過労死が問題になってもなお長時間労働を改めようとしないブラック企業が言う「再発防止に努める」に通じる白々しさがある。

まあ実際、今回の相撲協会側の対応にも問題があったのは事実で、本来被害者であるはずの貴ノ岩貴乃花を悪者にしようとしているとか、事件の背後にあるモンゴル人力士間の八百長を隠そうとしているとか、本当か嘘か分からない情報が出回っているけど、それらは正直どうでもいいと思う。むしろ私の中では、現役力士も親方衆も、加害者も被害者も、日本人も外国人も、みんながみんな過去の八百長について公式には口を閉ざしている、そういう体質の協会が出す「謝罪」に一体何の意味があるのだろう、と感じてしまう気持ちの方が大きい。

2010年に八百長問題が発覚した時、八百長の仲介役だった恵那司のメールを見れば、極めて巧妙な八百長のシステムが出来あがっていたことが分かる。そんな巧妙なシステムがあの時代にだけ存在したなんてことは絶対に有り得ない。あれは力士の間で脈々と受け継がれてきたものだ。事実、2010年以前にも八百長を告発した人はいたし、千代の富士八百長をやっていたのも公然の秘密とされていたではないか。

にも関わらず、相撲協会は2010年に「八百長は新たに発生した問題で、過去には一切八百長はなかった」と言っている。もちろん、当時の理事長はガチンコ力士として知られていたし、今の八角理事長や貴乃花親方も自身は八百長に関与していなかったのかもしれない。しかし、あれだけ複雑で大規模な八百長のシステムが存在していて、知らなかったはずがないのだ。百歩譲って、現役の若い力士や単なる相撲関係者なら、そういうシステムがあると知らなかったという事も考えられるが、長年角界の中枢にいる親方衆が知らなかったなんてことあるわけがない。

だから、八百長問題という1つの話題について言えば、相撲協会は確実に「嘘」をついている。私の中でその認識が根底にあるから、今回の件で相撲協会が何度謝罪しても、まだ何か隠しているんじゃないか、本当は反省してないんじゃないか、という疑念を拭えない。