新・怖いくらいに青い空

アニメ・マンガ・ライトノベル考察

『少女終末旅行』最終話―絶望的だが最高のハッピーエンド

アニメ化されたエピソードより先の部分がホームページ上で見れるので、『少女終末旅行』アニメ版だけ見て満足してる人は必ず原作の方も読みましょう。

少女終末旅行 | くらげバンチ

その原作が先日ついに最終回をむかえたわけですが、何かこう、心にとてつもなく大きな余韻を残す美しいラストでした。

正直、最終話に至るまでの数話は、読んでいて辛かった。ケッテンクラートが壊れ、徒歩での移動を余儀なくされた2人は、歩きながら様々なものを捨てていきます。銃も、食料も、本も、過去の記憶さえも失いながら、ユーリとチトは前へ進みます。これはまさに人生の本質、人生とは何かを得て、そしてそれを失っていく過程に他ならない、ということを強く感じさせます。

都市の最上部に着いた時にはもう、あらゆる持ち物を失って、明日の生活すらままならない絶望的な状態に。2人の胸に、本当にこれで良かったのか、何か別の選択肢もあったのではないか、という思いが去来します。それでも満天の星の下で、生きるのは最高だったという2人…。もちろん後悔もある。すべてが順風満帆だったわけではない。それでも、人生の最後に、生きるのは最高だったと言えたなら、それはもう間違いなくハッピーエンドなのでしょう。

物語のラスト、まるで世界の中に溶け込んでいくかのように眠りについた2人。これから2人がどうなるのか、それは一切示されていない。もしかしたら、このまま二度と目を覚まさないのかもしれません。しかし、たとえそうだったとしても、この絶望的で、それでいて穏やかな結末が、2人にとって最高の終わり方だったのだと信じたい。

3月に単行本6巻と設定資料集が発売されたらまた記事を書くと思いますが、今日はひとまず原作最終回を読んで思った事について、取り急ぎご報告まで。