新・怖いくらいに青い空

アニメ・マンガ・ライトノベル考察

アニメ『かぐや様は告らせたい』第8話感想

かぐや様は告らせたい』の序盤~中盤にある話の中で、私は期末テスト回「白銀御行は負けられない」が一番好きだ。この回だけは、恋愛頭脳戦や白銀会長への恋心とか関係なしの、かぐやの素の部分が垣間見えていると思うからだ。

かぐやの行動の奥にはいつも白銀会長への想いが隠れている。白銀より優位に立とうとして策を練るかぐや、白銀のことが好きすぎて挙動不審になっているかぐや、作戦行動中に予想外の邪魔が入ってテンパるかぐや…。もちろん、「テストで白銀に勝って恋愛頭脳戦を優位に進めたい」という下心もほんの少しくらいはあったのかもしれない。でも、今回に限っては、白銀のことを告白させたい想い人としてではなく、勉強におけるライバルとして見ていたように思う。

かぐやは、ただ単純に、悔しかったのだ。

天才と称された自分がテストで誰かに負けるということが、涙が出るほど悔しくて、悔しくて仕方がなくて、それでも、悔しがる姿を他人に見せないように、唇をグッと噛みしめて泣くのを我慢している、そんな一人の少女がそこにいた…。

そこには大財閥の令嬢としてのかぐや様も、白銀に恋するお可愛いかぐや様もいない。そういった「肩書き」や「仮面」をそぎ落として、それでもなお残る、とてもプライドが高くて負けず嫌いな、普通の女の子がそこにはいた。

僕は単行本でこの話を初めて読んだ時、もちろんギャグ・コメディとしての面白さを感じてはいたけれども、それ以上に何かとても暖かい気持ちになった。感動すら覚えた。そして、ああ、かぐやも他の子と同じ、ごく普通の女子高生なのだと初めて思った。

昨日映画館で見た『ドラえもん のび太の月面探査記』で、ゲストキャラの故郷として描かれた惑星の名は「かぐや」星。2日続けて「かぐや」にまつわる記事を書くことになったのも、何かの巡り合わせか。