新・怖いくらいに青い空

アニメ・マンガ・ライトノベル考察

ああ、『氷菓』の江波ちゃんが可愛すぎて萌え死ぬ

アニメ『氷菓』第8話で登場した悠木碧声の女の子・江波倉子ちゃんが実に可愛らしかったので、原作小説の彼女が出るシーンを見直してみたんですが、アニメ版では見られなかった彼女の心の内が垣間見えて、江波ちゃんがもう可愛くて仕方がなくなってしまったので、今日はその事について話そうと思います。

さて、アニメ版では、古典部と2年F組の探偵役3人は同じ日に面会をしていましたが、原作小説では、古典部は探偵役3人とそれぞれ別々の日に面会しています。小道具班の羽場智博と古典部が面会する日、江波ちゃんが折木達に次のような紹介をしています。

今日会ってもらうのは、羽場智博。小道具班の一人です。(中略) 特に役付きではないですが、でしゃば・・・・・・、積極的に動いてくれるのでいろいろと細かいことも知っていると思います。*1

ちょwww江波ちゃんwww。心の中では「でしゃばりやがってウザいなあ」とか思ってたんかwww。さらに、折木から「そういう奴をどうして引き合わせようとするのか」と聞かれ、

わたしも適任じゃないと思いますが・・・・・・。入須の人選です。きっと理由があってのことでしょう。強いていうなら、そう、スタッフの中では一番ミステリーに詳しいことが理由かも知れません。もっともそれも自称ですが*2

江波ちゃん意外と毒舌www。最後にしれっと「それも自称ですが」と入れるあたり、マジパネェっす!

まあ、そうなるのも無理はないわ。江波ちゃんの親友であり自主製作映画の脚本担当であった本郷さんのことを、この羽場という男は「ホームズでミステリーを勉強するなんて素人」とバカにし、挙句の果てには、本郷の支持を聞かずに血糊を勝手に用意した。親友を見下されたことがどうしても許せなくて、あんな毒舌全開な発言になったんでしょう。

で、その後、千反田から「本郷さんとは親しかったんですか」と聞かれた江波ちゃんは、次のように答えます。

本郷は生真面目で、注意深く、責任感が強く馬鹿みたいに優しく、脆い、わたしの親友です。けど、こんな言葉で説明して何がわかりますか。*3

もう彼女は、本郷さんのことが大好きで仕方がないんだろうなあ。あなたに本郷の何が分かるんですか?私達の何が分かるんですか?という心の声が聞こえてくるようです。

さて、ここからは今後のアニメの重大なネタバレがありますので、ご注意願います。


結局、本郷さんは映画の中で死者を出すつもりはありませんでした。それなのに、インパクトのある作品を撮ろうとした製作陣が暴走し、出来あがった映像はすっかり殺人ミステリーとなっていました。もう取り返しがつかないほどに、作品は本郷の手から離れてしまって、彼女は脚本の続きを書くことを諦めざるを得なかった。入須は、本郷の脚本の続きを推理させるためではなく、整合性のある新しい脚本を考え出させるために、古典部に接触してきました。本郷の真意を探るというのは、単なる名目でしかなかったのです。

ここで一つ、疑問が沸きます。本郷の親友である江波ちゃんは、本郷の目指した脚本や、本郷が脚本を書くことを止めた本当の理由、入須が古典部に接触してきた真の目的、そういったものをどこまで知っていたのでしょうか。私、気になります!

私は、江波ちゃんは全てを知った上で入須に協力していたんだと思います。作中で千反田は、なぜ入須は江波ちゃん経由で本郷に脚本の続きを聞かなかったのか、と疑問を呈します。その答えはこうでしょう。そんなこと、とうの昔に聞いてるんです。江波ちゃん経由で本郷の真意を聞き出し、これはもうどうしようもないな、と思ったからこそ、クラスメイトや古典部に脚本の続き=新しいストーリーを考えさせたんでしょう。だから、当然、江波ちゃんも事の真相を全て知っていたんだと思います。

親友が慣れないミステリーを必死に勉強し、一生懸命書きあげようとしていた脚本。それがクラスの中で勝手に捻じ曲げられていく様子を見て、江波ちゃんは何を思ったでしょう。怒りに震えたかもしれません。涙が出るほど悲しくなったかもしれません。

でも、クラスの代表である入須は、たとえ本郷の真意を捻じ曲げてでも映画を完成させようとしました。その様子を見た江波ちゃんは何を思ったでしょう。おそらく、本郷の真意が反映されない作品なんて、完成しない方がましだ、と思ったでしょう。それでも、彼女は親友を守るために入須に協力せざるを得なかった。もし、本当に映画が完成できなかったら、批判の矛先は今度こそ本郷へ向けられるかもしれない。あるいは、映画を完成させることができなかった責任を背負いこんでしまって、今度こそ本郷が倒れてしまうかもしれない。だからこそ、たとえ本郷の真意を捻じ曲げることになるとしても、江波ちゃんは本郷を守るために入須に協力したんだと思います。

江波ちゃんは、きっと物静かで、クラスの行事とかにもあまり積極的に関わろうとしないタイプの人間だと思う。その証拠に、当初、江波ちゃんは「興味がない」と言って企画に参加していませんでした。そんな江波ちゃんが、クラスと古典部の仲介役として映画の完成に向けて協力していた理由は、たった一つ、親友を守るため、だったんだと思います。

ああ、もう、なんて健気で可愛い子なんだろう。本当に素晴らしい。