新・怖いくらいに青い空

アニメ・マンガ・ライトノベル考察

『この素晴らしい世界に祝福を!』総評

りきおさんが以前記事*1で書かれていたように、見た目だけはテンプレハーレムもののフォーマットを踏襲しつつも、恋愛要素をほとんど描かず、恋人までは行かない友達関係やギャグ描写に特化しているというのが、本作の大きな特徴だ。スタジオディーンアニメ毎度のお約束としてキャラクターの作画が微妙なことになってる場面が数多く見受けられたが、その一方で、一部の戦闘描写や風景などの作画が無駄に気合入っていて、そのギャップがまた一周回ってシュールなギャグとして機能しているようにも感じた。これぞまさに、良い意味で頭のおかしいアニメと言えるだろう。神奈川新聞でも本作が取り上げられて、以下のように絶賛されているようだ。

たまに冒険が成功したときには達成感で快哉を叫ぶし、直後にオチがつけば明暗の対比に人生の縮図を見たりもする。決して完全ではなく、どこかイビツだからこそ、楽しくいとおしい人間たち。爆笑の連続から人生の本質にも迫る部分もある、味わい深い作品なのだ。
(神奈川新聞2016年3月14日号より)

『このすば』のどのあたりが「人生の縮図」「人生の本質にも迫る部分もある」と言えるのだろう。これは完全に私の考えだが、人生では常に、真面目に一生懸命に何かを成し遂げても、本当にショボい理由によってそれが一瞬でパーになったりする。傍から見れば実にバカバカしいようなことに時間を取られ頭を悩ましたりする。予想外のしょうもないトラブルに見舞われてあまりの酷さに笑いがこみ上げてくる。要するに、まっすぐに進もうと思っても全然うまくいかない、しかもその原因が笑えるほどにくだらない事で、「えー!?こんなことのために俺は金も時間も労力も吸い取られていくのかよ!やってらんねえ!」みたいな感覚。この新聞記事は結局そういうことを言いたいんじゃないだろうか。そのような作風は以前私が紹介したSAOのパロディ4コマ漫画*2にも近いところがあって、予想以上に楽しみながら視聴していた。アニメ第2期も早く見たい。