新・怖いくらいに青い空

アニメ・マンガ・ライトノベル考察

『よふかしのうた』第9巻感想

先日アニメ化も決定した『よふかしのうた』。今月原作漫画の第9巻が発売されたのですが、もう凄まじいですな…。

もともとこの作品の魅力は、何といっても、主人公であるコウとナズナの掛け合いにありました。例えばアニメ版公式ホームページを見てください。

もうこのキャラデザ見るだけでキュンキュンする。何が良いって、夜守コウ君の三白眼・鎖骨・生足! そして、七草ナズナさんは、トレンチコートの下は黒の短パン!そしておへそ丸だし! この二人がまた、闇夜の怪しげな雰囲気を醸し出しつつも、思春期の中学生カップルみたいに初心でさあ、もう読んでてキュンキュンする!

作者の性癖だだ漏れすぎやろ…。でも、この過剰なまでに、読者のフェティシズムを刺激するキャラクター設計が、本作最大の魅力なわけです。正直、新人作家が「こういうの描きたいんです」って言っても担当から「ダメに決まってんだろ」って言われるのがオチ。『だがしかし』という名作を生み出した実績のあるコトヤマ先生だからこそ、これが許されているのでしょう。

だがしかし、ここから話数が増えるにつれて登場人物も増えていって、どんどんエモい方向に進んでるように思います。特に第8巻と第9巻、ナズナとその初めての眷属候補だった目代先輩とのエピソードは、もうエモさの塊やろ…というしかない出来。

ただでさえただコウとナズナがイチャついてるだけで最高の漫画なのに。そこからさらに、「普通」から弾き出され暗闇の中でしか生きられない人が抱える悲しみ、それが驚くほど精緻かつ強烈なインパクトを持って描かれ、作品に深みを与えているように思います。