新・怖いくらいに青い空

アニメ・マンガ・ライトノベル考察

『星屑テレパス』感想

まるでパッチワークのように華やかで多様なコマ割りと吹き出し、その中で紡ぎ出される繊細な百合の雰囲気は、もはや4コマ漫画という枠組みを超えた芸術作品のような尊さがある。

主人公・小ノ星海果は引っ込み思案で友達もできず、地球上には居場所がないと思っている女の子で、将来はロケットで宇宙へ行き、自分と分かり合える宇宙人を探したいと願っている。そんな中で自称宇宙人の明内ユウと出会い、さらに2人の部員とともにロケット研究同好会を設立。まずはペットボトルロケットの製作からスタートし、宇宙を目指すべく歩み始める。その活動の中で海果は少しずつ他人と打ち解け、いつしかそこが彼女にとってかけがえの無い居場所となっていく。

読んだあと、SF映画ガタカ』のラストを思い出した。生まれ持った遺伝子によって人生のあらゆる事が決められてしまう近未来。「不適正者」として差別されていたヴィンセントは、宇宙に行きたいという夢を諦めきれず、出生を偽って宇宙飛行士となる。ロケットに乗って地球を離れる時、ヴィンセントは「地球にいる意味なんてないと思っていたのに、今は去るのがつらい」と回想する。

壮大な夢の実現に向けて仲間と共に一生懸命に突き進む、その過程こそが何よりも大切な心の居場所。『恋する小惑星』も、今アニメ放送中の『月とライカと吸血姫』も、根底にこのテーマが流れているように思う。

将来アニメ化する事は間違いないと思うので、もっと多くの人に読んでほしい作品。どのキャラクターも可愛いが、個人的イチオシは、ロケット研究同好会を技術面から支える雷門瞬ちゃん。きらら系4コマ史上最高かもしれんっていうレベルで可愛い。