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アニメ・マンガ・ライトノベル考察

横須賀女子海洋学校とブルーマーメイドに関する考察―MFコミックス『はいふり』を読んで

はいふり (1) (MFコミックス アライブシリーズ)

はいふり (1) (MFコミックス アライブシリーズ)

阿部かなりさんの描いたコミックス版『はいふり』読みましたよ~。アニメ版に登場するキャラクターの高校入学前の様子が見られて、非常に興味深い内容となっています。

特に、マロンちゃん(江戸っ子てやんでい)と黒木さんの関係性に萌えた。私はてっきり、黒木さんと宗谷さんが幼なじみだと思ってたんですが、実はマロンちゃんと黒木さんが幼なじみだそうです(ついでに言っておくと、マロンちゃん全然江戸と関係ありません。実は千葉県民です)。

ブルーマーメイドのイベントに参加した黒木さんは、そこで宗谷さんと遭遇し一目惚れしちゃいます。そして、自分も横須賀女子海洋学校に入ってブルーマーメイドになると決心します。それを聞いたマロンちゃんは泣きながら、

「ダメダメヤダーーー!! クロちゃんはあたしの女だーーーい!! 宗谷家なんぞに渡してたまるかーーー!!!」(16頁)

とか叫びます。おい、ちょっと待て! 可愛すぎやろ! お前、機関室ではそんなキャラじゃなかったよな。しかもその後、クロちゃんと同じ高校受ける、とか言ってあっさり進路決めちゃったよ。どんだけクロちゃんのこと好きなんだよ!

あと、入試当日に道に迷って途方に暮れていた等松さんの前に、同じく受験生のマッチが登場! やさしく目的の教室まで案内してくれて、等松さんは完全にマッチに一目惚れ、なんていうシーンも。なるほど、だからこの人、アニメ版ではマッチにメロメロだったのですね。

そんな感じで、入学前から百合描写満載な晴風組なのですが、さらに興味深いのは、各人が横須賀女子海洋学校に入りたいと決めた動機です。

繰り返しになりますが、クロちゃんは宗谷さんと一緒の高校に行きたい、マロンちゃんはクロちゃんと一緒の高校に行きたい、というのが理由でした。さらに、ミカンちゃんは自分の調理スキルを活かしたいという理由で横須賀女子を志望し、それを聞いて双子ちゃん(ほまれ・あかね)も同じ高校を受験する、という感じでした。中には、モモちゃんのように、ブルーマーメイドになれば一生安泰だからという現実的な理由で志望してる人もいます。

つまりですね、『ハイスクール・フリート』の登場人物には2パターンあるということです。1つ目が、艦長とか宗谷さんとかモカちゃんみたいに、子どもの頃からブルーマーメイドに憧れていて、中学の頃から特別な教習を受けてきた人たち。*1 2つ目が、上で見たように、高校受験間近になって様々な理由から横須賀女子海洋学校への進学を決めた人達です。

これを実際の自衛官で例えるなら、防衛大とか防衛医科大を卒業したエリートと、普通の自衛官、という感じでしょうか。あるいは、高校の吹奏楽部に例えれば分かりやすいかもしれない。確かに初心者でも入部できます、けれども、部長とかパートリーダーになれるのは、中学時代から吹奏楽やってた経験者ですよ~、みたいな感じ。*2

そう考えると、アニメ版で艦長が「受かったのは運が良かったから」みたいなこと言ってましたが、いやいや、艦長を任せられる時点でそれなりにエリートコース歩んできてるでしょ? と思いますね。少なくとも、晴風の艦橋にいる幹部級の人達はみんな、中学時代からそれなりに航海の勉強をしてきてるエリートじゃないか、というのが私の考えです。*3

とまあ、こんな感じで、『ハイスクール・フリート』の世界観が何となく見えてきました。アニメ版だけでは分からなかった登場人物の人となりなども知ることができるので、気になった方はこのコミックス版も読んでみると良いと思います。

*1:もちろん、あの世界の中学では航海術が国語・数学・英語並みに重要視されていて中学生は全員基本的な航海術を学習している、という可能性も無くはありません。しかし、義務教育レベルで艦長職をやれるとは思えないので、やはり晴風の幹部クラスの人達は皆、中学時代から航海に関する特別な訓練を受けているんだと思います。

*2:マロンちゃんは学校で航海術を学んでいない「初心者」に分類されると思われますが、実家が船の整備をやっていて本人も小さい頃から船の修理とかをやってきたみたいなので、例外的に機関長という重要ポストを任されているのだと考えられます。

*3:例えば、タマちゃん(無口ちゃん)とかも、ああ見えて身体能力が並外れてるので、特待生的な扱いになっているのかもしれません。