2024年6月23日、あいにくの雨模様だったが、ガルクラ第10話の聖地巡礼してきた。


第10話で高校の最寄り駅が出てきたことで、図らずも仁菜について様々なことが判明した。洗馬橋駅のすぐ近くにある熊本県立第一高校は県内でも指折りの進学校である。公式ホームページのキャラ紹介では、仁菜について「やや引っ込み思案の普通の女の子。小中高と目立たない存在で、成績もごく普通。」などと書かれているが、本当はとても頭の良い子なのだと分かる。おそらく仁菜は、子どもの頃からずっと親の期待に応えて真面目に勉強をしてきたのだろう。そして、頭が良いからこそ、周囲の人から向けられる悪意や、大人たちの事なかれ主義みたいなものを敏感に感じ取ってしまって、それを許すことができなくて学校を中退し、家を飛び出してしまったのだろうと思う。
こうして熊本での仁菜の様子が垣間見えてくると、『ガールズバンドクライ』第10話は門井慶喜『銀河鉄道の父』と構造がよく似ていると思うようになった。宮沢賢治も井芹仁菜も、どちらも地方都市(花巻・熊本)の裕福な家に生まれて、厳格で真面目な父と対立して実家を飛び出してしまう。それでも親が子に向ける無償の愛は何ひとつ変わることなくて、最後は親子がお互いに少しだけ歩み寄る形で和解して、そのなかで伝統的な家父長制も解体される。ガルクラにおいては「家訓」が、『銀河鉄道の父』においてはちゃぶ台*1が、それをよく象徴するアイテムだと思う。
そんなふうに考えていくと賢治と仁菜は他にもいっぱい共通点があって、例えば、父親と不仲になってる間もきょうだい(賢治の場合は妹のトシ、仁菜の場合は姉の涼音)とは深い絆で結ばれていた点などまさにそうだと思う。
*1:今ちゃぶ台と聞くといかにも古臭い保守的なイメージだが、家族内の序列に関わらず家族全員が同じテーブルを囲って食事することは、当時としては先進的なスタイルだった。