新・怖いくらいに青い空

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『スクール・アーキテクト』第1巻のあまりにも正しくない美しい世界

『スクール・アーキテクト』第1巻読んだ。何だろう。すごく心がモヤモヤする。コタちゃんが最後に決断したのは、妹のために自らを犠牲にして新しい世界を作るという選択。でもそれは、あまりにもいびつで、もろくて、ちょっとしたことで壊れてしまいそうな砂上の楼閣。それなのに、自分の中で、この結末がこんなにも美しいと感じてしまうのは何故だろう。

その理由はたぶん、コタの妹への愛に胸を打たれたとか、自己犠牲の崇高な精神に感動したとか、そういう類のものじゃない。おそらくコタは、自分の行動が究極的に正しくないと最初から分かっていて、あえてその正しくない選択をとっている。彼女の作った世界はどこまで行っても、虚構であり、不自然であり、正しくない世界だ。でもそこには、彼女が望んでやまなかった元気な妹の姿がある。いや、それですら、コタの自己満足かもしれない。真実を知ったら、きっとみんなが悲しみ、そういう選択をしたコタを責めるだろう。それでも彼女は、その正しくない世界を創造せずにはいられなかった。彼女が作らざるを得なかったこの世界が、あまりにも歪んでいて正しくないからこそ、それが言葉にできないほどに美しいのだ。

下の関連記事にもあるように、単なる日常系4コマ漫画と思って読み進めていたら、途中からとんでもない超展開になった。そして、こんなにも悲しく美しいラストが待っているなんて、想像を絶する衝撃だった。

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