『メイドインアビス』にマアアさんというキャラクターがいる。詳細な説明は下の記事に譲るが、全身ピンク色でフサフサな毛に覆われた可愛らしい見た目をしていると同時に、人間のおっさんみたいな汚いケツが付いてるなどの残念ポイントも兼ね備えた唯一無二と言っていいキャラクターである。
マアアさんは非常に可愛らしく、また、描きやすいので、私も何度かマアアさんの絵を描いてpixivにupしていた。ある日、自分が投稿した作品一覧*1を何気なく見返していたら、見慣れない表記があった。

中央の絵のタイトルと投稿日時の下に「レーティングあり」という表記がある。そこをクリックすると次のような画面になった。

ようするに、私が上げた絵がpixivの運営によって「センシティブな内容が含まれている可能性がある」と判断されたらしい。SNSで絵師の反応を調べてみると、私以外にも同じように運営によって「レーティングあり」にされた人が多くいるようだ。
注目すべきは、今回「レーティングあり」とされたのは、マアアさんのケツが描かれている絵だけだったということだ。上の画像を見ても分かる通り、両隣の絵には何も表記が無いのに、中央にあるマアアさんの後ろ姿だけ「レーティングあり」となっているのだ。
どうやら、pixivが使っているAIには、マアアさんのケツを「センシティブ」であると見分けるだけの能力があるらしい。
pixivのガイドラインでは、「センシティブな内容を含む作品」について次のように書かれている。
イラスト・うごくイラスト・マンガのいずれかを選択して投稿された作品について、当社基準に基づき、以下のとおりセンシティブな表現又は描写などの内容を含むと当社が判断した作品に対してレーティングを付与します。また、投稿ユーザーご自身が投稿画面上で「軽度な性的描写」のチェックを入れた場合は、センシティブな内容を含む可能性がある作品としてレーティングが付与されます。当社が付与したレーティングについて作品と合致しないと感じた場合、投稿したユーザーご自身は、当社所定のフォームより再チェックを申請することができます。再チェックは1作品につき1回、再投稿した場合は合計で3回の申請を行うことができます。
1. 性に関連したもの、卑猥な要素を含む表現
- a. 下着の露出(透けている衣服やストッキング・タイツ等越しの場合も含む)
- b. 極端に面積の少ない衣服や水着、露出度の非常に高い人物や明らかに裸体と思われる人物の描写
- c. 胸部・腋・臀部・股間・足裏等を著しく強調した表現や露出度の高い表現(可視を際どくした場合も含む)
- d. 衣服の脱ぎかけや破れ・透け・溶解などで肌が露出しているもの
- e. 性行為およびその前後を連想させる表現・表情・セリフ(喘ぎ声)・擬音・ハンドサイン・その他テキスト、またはそれらを模した表現を含むもの
- f. 性的な雰囲気を想起させる、表情・発汗・キス・身体接触・痙攣、その他の性的な状態を想起させる表現
- g. 医療行為を性的に描写しているもの
- h. 排泄行為・排泄物・放屁の描写またはそれらを連想させる描写を主体とするもの
- i. 性行為等の強要や売春行為を示唆するもの
2. 極度に恐怖を与えるような暴力的な描写
- a. 過度な出血や流血の表現
- b. 人体や動物の切断やそれらの内臓を露出している表現
- c. 自殺行為およびその前後を連想させる描写
- d. 殺人行為およびその前後を連想させる描写
3. その他、当社がセンシティブな内容を含むと判断した表現
マアアさんのケツは、この中の「胸部・腋・臀部・股間・足裏等を著しく強調した表現や露出度の高い表現」に該当しそうである。
このガイドラインを見て分かるのは、pixivの考える「センシティブ」の範囲は、かなり広範囲に及び、なおかつ境界線が曖昧であるということである。
マアアさんの後ろ姿を描くことは本当に臀部を「著しく強調した表現」だと言えるのか? そもそもマアアさんは人間じゃないので露出度が高いわけでもないのでは? このような疑問は尽きない。
だが、言葉の定義についてあーだこーだ言っても意味はないだろう*2。どんなキャラクターのどんなイラストであれ、そこに人間のケツのようなものが描かれていたら、それはもう「センシティブ」なのだ。
誤解を恐れずに言えば、マアアさんとは、カリカチュアライズされたケツである。ある意味本物のケツよりもケツらしい、ケツのイデアとでも呼ぶべき存在である。だから、このマアアさんの絵が「センシティブ」とされること自体は仕方ないと思う。むしろ、pixiv(のAI)がマアアさんというキャラクターの本質を正しく理解しているのであれば、「センシティブ」認定されて然るべきであろう。
問題は、では、運営から「センシティブ」認定されたら一体どうなるのか? ということだ。今年11月5日に出されたお知らせにそのあたりの詳しいことが書かれてあるので引用する。
2024年11月中旬より、pixivの閲覧設定において、「センシティブな内容を含む可能性のある作品を表示」の項目を追加します。
今回追加する項目によって、これまでの「性的な表現を含む作品(R-18)」「グロテスクな表現を含む作品(R-18G)」だけでなく、年齢制限は必要としないものの、センシティブな内容を含む可能性のある作品についての表示方法を選べるようになります。
そして、センシティブな内容を含む可能性のある作品を表示しない設定にすると、検索する際にそのイラストが表示されなくなったり、イラストにぼかしが入ったりするようになる。
私は軽い気持ちでイラストを上げているだけなので、運営からセンシティブ認定されて、それによって閲覧数や「いいね」や「ブックマーク」が減ったところで特に気にしない。*3
だが、真面目に絵を描いてpixivで閲覧数を増やしたいと思っている人にとっては、これは死活問題になりかねない。本当にセンシティブな表現だったならまだしも、全くエロくもない画像を間違えて「レーティングあり」にされてしまったら、もうたまったもんじゃない。*4
とはいえ、本来ならR-18やR-18Gにされるべきイラストがレーティングされずに、子どもを含む全ユーザーが閲覧できる状態になっているのも、それはそれで大問題だろう*5。なので、一部のユーザーからの反発はあったとしても、運営による「センシティブ」認定は今後も続けられるだろうと思う。
ということなので、pixivにマアアさんのイラストを投稿する際は、ケツを描いてしまうと「センシティブ」認定されてしまうリスクがあることを、各位ご留意いただきたい。
*1:pixivで「自分の作品」というところをクリックすれば自分がupした作品だけを投稿した順に表示できる。
*2:例えば、『ストライクウィッチーズ』のキャラクターが履いているのはパンツではなくズボンなので、同作のキャラの絵はR-18ではない、というような主張が通用しないのと同じである。
*3:そもそもpixivでメイドインアビスの絵を見に来る人ならたいていR-18画像を見える設定にしてるだろ(あくまでも私の偏見だが)って思っているので尚更影響は少ないだろうと思う。
*4:間違えてレーティングされても異議申し立てができるんだからいいだろ、という意見もあるだろうが、話はそう単純ではない。言うまでもなく、pixivの絵は新しいほど人目に触れやすく、古い絵はどんどん新しい絵に埋もれて表示されにくくなる。そのため、upした直後に「レーティングあり」にされて、そこから異議申し立てをしてそれが通ったとしても、その間に多くの機会損失が発生してしまうのだ。
*5:本来なら作者がR-18やR-18Gにしておくべきなのに、閲覧者数が減るのを嫌って何のレーティングもせずにupされてる絵も相当数あるのだと思われる。