読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

新・怖いくらいに青い空

アニメ・マンガ・ライトノベル考察

『ココロコネクト』第13話考察

アニメ ココロコネクト

※作品に対する様々な考え方を併記するために、対論形式の記事にしてあります。

コランダム編まとめ

司会者  ついにアニメ『ココロコネクト』カコランダム編が終わってしまったわけですが、もう何か語ることがあるでしょうか。1人で家に向かおうとする伊織に他の4人が語りかけるシーン、ここに私達が今まで議論していたことを全てが詰まっていたように思えます。

待ちやがれ、この大馬鹿野郎。昔、お前は失敗したんだろ? 何でなのか分かってるのか? 誰にも言わず、誰にも頼らず、一人でやろうとしたからだろ。

九州人  今ではこんな事を言っている稲葉ですが、以前は『人格入れ替わり』の時も『欲望解放』の時も、問題を誰にも相談せず、ずっと一人で抱え込んでいました。でも、文研部の皆と出会って色んな事を経験し、ようやく変わることが出来きました。悩みを一人で抱え込むんじゃなくて、仲間に打ち明ける勇気を持とう、と思えるようになった。だからこそ、以前稲葉が伊織に言われた事を、今度は稲葉が伊織に返すことが出来たんだと思います。

ふざけるなよ! 永瀬がそれだけ苦しんでるなら、それは俺たちの問題だ。

生物学者  稲葉に続いてこう発言した太一は、依然と変わらないように見えるけれども、実はそうではないですよね。以前の「自己犠牲野郎」なんて呼ばれていた頃の太一なら、自分の問題も、伊織の問題も、全て自分が背負いこんで、自分だけが犠牲になれば良いと思っていた。でも『人格入れ替わり』を通して、自分が苦しめば仲間も心が痛むんだという事に気付けた。だから、もう太一の中に独りよがりな「自己犠牲」は無い。伊織の苦しみは、伊織だけでもなく、太一だけでもなく、仲間みんなで背負うんだ、という意志がそこにはあります。

伊織ちゃん、もっとシンプルで良いんだよ。

アニオタ  この言葉自体も凄くシンプルですが、青木の想いが詰まった一言だと思います。『時間退行』によって過去の記憶を思い出し「能天気でいること」を忘れていた青木ですが、最終的には、ありのままの今の気持ちを肯定して生きる道を選択しました。だからこそ、この言葉には凄く重みが出てくる。一人で悩んで難しく考えるんじゃなくて、もっとシンプルに、今自分は何をしたいのか、仲間に何をしてほしいのか、それを考えてみれば良いんじゃないか、というメッセージが込められているんですね。

そうよ伊織、たった一言言うだけで良いんだから。

唯信者  唯が『欲望解放』で苦しんでいた時、青木は「たった一言『守って下さい』と言えば良いんだ」と言っていましたが、今度は唯が伊織に同じ事を言ったわけですね。やっぱり全てが繋がってるんだと思いました。文研部に入ってから今日までの全てがあったからこそ、今の唯とこの言葉があるんでしょうね。

司会者  さて、その後『時間退行』現象が終わったことを告げに来た〈ふうせんかずら〉は、伊織に「過去に戻ってやり直したくないか」と問いかけます。そして伊織は、過去に戻るという選択をきっぱりと否定しました。

私は、全ての過去があって、今の自分になれたから、今までの自分の歩んできた道を否定すれば、今の自分を否定することになる。それはしたくないから、唯と青木みたいに全力で生きてる二人を見た後に、そんなこと思えるはずないよ。これまで積み上げてきた過去がなかったら、私は今の場所に居られなかったと思う。だから、やり直さなくていいです。

九州人  カコランダム編のテーマ全てがこの台詞に集約されていますね。人間だれしも「過去に戻ってやり直したい」という気持ちになることがある。でも、否定したいような過去でも、それがあったからこそ今の自分があるんだとポジティブに考えることが大事だと思います。

カント主義者  話に水を差すようで申し訳ないが、そんな風にポジティブに思えるのは、結局「今」に満足している人だけじゃないだろうか? どんなに辛く苦しい過去であったとしても、最終的に「今」がある程度満足できる状態であるからこそ、「全ての過去があって今の自分がある」なんて言い方が出来るのではないのかね?

心理学者  確かに「今」に満足していなければ、過去を肯定することは難しいかもしれません。でも、このポジティブな考え方は、たとえ「今」がどんな形であったにせよ、重要なことだと思います。だって、過去を変えることなんて出来ないんだから。過去の失敗を取り戻すことは出来ないけれども、それを理由にしてふさぎ込むんじゃなくて、今できる精一杯の事をしなければならない。

唯信者  今回の唯の思考がまさにそれだと思います。男性恐怖症という現実は現実としてあるけれども、それを言い訳にして何もせずに過ごすんじゃなくて、とにかく今の自分に出来ることを精一杯やる。つまり、過去の出来事を言い訳にするんじゃなくて、今現在の自分は何が出来るのか、何をすべきなのかを考えて前に進んでいく。その重要性に気付かせてくれたのが、この作品でした。

アニメの総括と今後の展開

司会者  さて、『人格入れ替わり』『欲望解放』『時間退行』という3つの現象が終わって話が一区切りつき、アニメ放送も終りを迎えたわけですが、ここからは議論に加わってくださった皆さんと、アニメ版全体のことについて簡単に討論していきたいと思います。

九州人  もう何度も言っていることなので手短に言いますが、やっぱりこの作品の根本となるテーマは、悩みを一人で抱え込むのではなくて、勇気を出して仲間に相談すべきだ、ということに尽きると思います。一人で悩んでいると、思考がどんどんネガティブになっていって、解決できるものもできなくなってしまう。ここで勇気を出して皆に相談することで、一人の時では思いもしなかった解決法が見出されてくる。この「打ち明ける」ということの重要性を述べたのがこの作品なんだと思います。

カント主義者  いや、この作品のテーマはそれだけには留まらない。もっと広く、仲間とは何か、絆とは何か、という部分に踏み込んでいる。文研部はまさに理想的な集団を体現したようなところだ。九州人が述べたようなことはもちろんだが、私がそれ以上に重要に思ったのは、『欲望解放』の時に言われていた「傷つけ合う事を怖れるな」という点だ。ただ対立を避けるだけ、仲良く過ごすだけでは、本当に強固な絆を形成することは出来ない。時には対立し傷つき合うことで、お互いの事をより深く理解し、より一段上の絆を築くことができるようになる。

唯信者  いやいや、カコランダム編に代表されるような、過去・現在の対比と、その中で自分をどう変えてゆくべきか、というテーマの方が重要ですよ。

生物学者  生物学的な観点から見ても、人格入れ替わり(身体と意識の問題)や自己犠牲など、注目すべきトピックが含まれていました。

心理学者  心理学の観点からも、欲望解放など、非常に注目すべきエピソードが満載でした。

アニオタ  以上のような観点は結局全て蛇足で、この作品で最も重要だったのは稲葉んの圧倒的可愛さだったことは言うまでもありません。

司会者  要するに、『ココロコネクト』という作品は、本当に多種多様な観点から自分に合った考察をすることができる作品だ、ということだと思います。しかし、これだけ色んな見方が挙がっていてもまだ、アニメ化されていない原作小説のストーリーは大量にあります。

アニオタ  『時間退行』が終わった後の次の現象『感情伝導』では、伊織が完全なるダークサイドに落ちて、これまで以上に濃密なストーリーが展開されています。また、2年生になった太一達文研部は、ついに2人の新入部員を迎え入れ、そこからまた色々なドラマが展開されていきます。さらに、〈ふうせんかずら〉が引き起こす現象とは関係のない、文研部の日常描写についても、是非アニメ化してほしいものです。そして9月には、原作最新巻である『アスランダム編(上巻)』が発売され、物語はいよいよクライマックスに近づいています。

九州人  クライマックスを迎えたら、私のブログでもしっかり考察を行いたいと思いますので、どうかよろしくお願いします。

司会者  今後のアニメの展開、原作小説の展開など、色々気になることが多いですが、文研部5人の未来が明るいものである事を祈って、この討論を終わりたいと思います。皆さん、ありがとうございました。