新・怖いくらいに青い空

アニメ・マンガ・ライトノベル考察

最近見てたアニメ

仕事等が忙しくて全然ブログを書けてないが、最近見たアニメで印象に残ってる作品だけひとまず感想を。

『水星の魔女』1クール目

視聴者の高い期待をさらに超えてくるストーリー展開と、細かい部分にまで目が光る演出からは、ガンダムシリーズという歴史に裏打ちされた信頼を感じる。前半部分では、第1話のグエルの台詞に象徴されるような、花嫁をトロフィーとして奪い合う男尊女卑的な構造に対して、そのアンチテーゼとしてスレッタとミオリネの関係性が提示され、その点がよく言われるようにウテナみがある構造のように見えたわけだけど、後半部分ではそこから一歩踏み出して新たな構造が生まれてきたように思う。ダブスタくそ親父という言葉に代表されるように、当初は打破すべきものの象徴であったミオリネの父親であったが、第7話の株式会社設立に際してミオリネは父親に頭を下げ、ビジネスパートナー的な関係性に変化していく。そして、ミオリネをトロフィー呼ばわりした男をお尻ペンペンで蹴散らすというある意味ポリコレ的存在として登場してきたスレッタが、12話ではミオリネを守るためなら殺人すら躊躇わないという極めて野蛮な男性性を発露してきたという展開。この状況から2クール目にどう話が進んでいくのか、そして、フェルシーちゃんの出番は果たしてあるのか、今から楽しみで仕方ない。

サマータイムレンダ

離島での民間伝承やドッペルゲンガーといったホラー的要素に、2010年代に興隆したタイムリープもののテイストを加えた作品。だが、この手のゲームとそれを原作とするアニメにありがちな、安易なルート分岐やヒロイン選択が存在せず、一本筋の通ったストーリーが特徴的だった。設定に関しても、タイムリープの回数に事実上制限がかけられていたり、敵側もタイムリープすることで強くなっていったりすることで、後半も緊張感のある作りになっていたと思う。終盤、常世とかいう謎の空間に移動してしまい面食らったことを差し引いても、名作と言える作品だろう。ヒロインの可愛さという観点で言えば、もう、影澪一択だった。

リコリス・リコイル

日本のTVアニメにありがちな、主人公の周りでワチャワチャやってる分には面白いのに、大きな組織を出してきた途端に粗が目立つようになる作品。DA、真島ともに拙攻が目立つし、台詞回しも回りくどく洗練されてない感じがする。それらの欠点を除けば完璧な作品。錦木千束を演じた安済知佳さんをはじめとする声優陣の名演、百合アニメ史に残る名シーンの数々、圧巻のアクションシーンなど、どれをとっても一流の仕事であるだけに、後半の展開はちょっと残念。結局は、「才能」というものをどう捉え、どう使うかは自分次第、というようなテーマ性を帯びていたのかなあと思う。吉松は千束には殺しの才能があるというが、そもそも殺しの才能とは一体何なのだろう。例えばひとえに野球の才能といっても、選球眼とか、パワーとか、瞬発力だとか、いろいろな要素があり、それらは他の競技や仕事などでも有利に働くものがある。このように、殺しの才能という漠然とした評価は吉松が勝手にそう解釈しているだけであり、それをどのように使うかは千束の意志次第である。我々は生まれ持った才能を変えることはできないが、運命を変えることはできる、というお話なのだろうがそのあたりのテーマはあまり深く掘り下げられなかった。

彼方のアストラ

2019年の作品だが先月くらいに一気見。多少ガバガバなSF考証を補って余りあるダイナミックなストーリー展開、ところどころでスケットダンスみのあるギャグ描写、生まれや遺伝子ではなく出会いと行動こそが人の運命を切り開くのだというメッセージ性、これらのバランスが秀逸で、かつ、黒沢ともよ無双の傑作。コアのテーマ性としては上で見たリコリコ等に近いのかもしれないが、そこに、登場人物が徐々に世界の真実に気付いていくという『都市と星』『星を継ぐもの』的な王道SFの構造、少年少女の冒険を基調とした『ドラえもん映画』的なジュブナイル冒険SF、『アポロ13』『ゼロ・グラビティ』的な宇宙事故ものの緊張感など、あらゆるジャンルの良いところを詰め込んだ良質なSFアニメだった。

よふかしのうた

随所に滲み出る作者の性癖、夜の独特な空気感、コウとナズナのまるで中学生カップルみたいな距離感など、原作の雰囲気を忠実に再現したアニメだった。雨宮天花守ゆみり沢城みゆきなどの名演も光る。声優陣の実力はもちろんだが、キャスティングもまた素晴らしい。

それでも歩は寄せてくる

原作の良い回を選んで贅沢に消費し、うるし先輩の可愛さを思う存分に描き切ったアニメだった。しかし、1クールで修学旅行まで行ったのはちょっと速足すぎるかも。凛を登場させるのは2期からにして、『かぐや様』みたいに付かず離れずの微妙な距離感の2人をしばらく見ていたかった気もする。

転生王女と天才令嬢の魔法革命

アニメの放送時期こそリコリコより後だったものの、陽キャで面食いの女が真面目で芯の強い女とイチャイチャする百合作品として、リコリコと双璧を成すものと言えるだろう。最初は陽キャ全開だったアニスの抱える影の部分が浮き上がり、そこから、かつてユフィがアニスに救われたように、今度はユフィがアニスを救うという、王道の展開に繋がる構成も見ごたえがある。物語のフォーマットとして種々のなろう系作品群あるいは『ゼロ魔』等に見られる伝統的な異世界転生王室モノを踏襲しつつ、そこに百合要素をふんだんに盛り込んだ作品ととらえることもできよう。

今期見るアニメ

『僕ヤバ』は原作も読んでるので視聴する。アニメ2話まで見た感じだと、『高木さん』のスタッフで作っているせいか、市川が思ったより西片みがある。

『スキップとローファー』は1話時点で黒沢ともよ無双の名作であることが確定したので視聴継続。

あとは『水星の魔女』と、他何作品か。