新・怖いくらいに青い空

アニメ・マンガ・ライトノベル考察

『響け! ユーフォニアム』の作品構造

アニメ第10話まで見てようやく、『響け! ユーフォニアム』の作品構造が自分の中で分かったので、備忘録としてここに載せておきます。

  1. 作中で描かれているのは、個人のエゴとエゴとのぶつかり合い。例えば、テキトーに部活やる組と、全国を目指して頑張る組との対立。ソロパートは3年生が吹くべきだという主張と、最も実力のある者が吹くべきだという主張との対立。部活を頑張りたい子と、部活よりも将来のことを考えて勉強してほしい親との対立。
  2. 作中において自分のエゴを通そうとしなかった者は、必ず「後悔」する。例えば、親に言われるがまま吹奏楽を辞め大学に進んだ麻美子さん。ただ周りに流されるままで本気になれずにいた中学時代の久美子。
  3. 作中において自分のエゴを通すと、同時に、それによって生じる重い「責任」も背負うことになる。例えば、オーディションでの麗奈の勝利は、香織の敗北を意味する。全国大会にあすかが出場するということは、夏紀が全国大会に出られないということを意味する。
  4. 作中における成長とは、自分のエゴを通そうとするだけだった者が、相手のエゴを受け入れるようになること。あるいは、周囲に流されて自分のエゴを通そうとしてこなかった者が、自分のエゴを通せるようになること。前者の代表例が優子(第1巻ではソロは香織が吹くべきと執拗に叫んでいるが、第2巻ではまだ納得してないと言いつつも全国を目指すためには麗奈が吹くのが正しいと認めるようになる)。後者の代表例が久美子(これまでずっと傍観者的なポジションだったのが、第3巻でようやく、あすかや他の部員の気持ちを度外視して、ただ単純にあすかに戻ってきてほしいという自分の気持ちを伝えられるようになる)。

このように考えれば、この作品は実は、かなり明瞭でシンプルな構造をしているんだということが分かると思います。