新・怖いくらいに青い空

アニメ・マンガ・ライトノベル考察

2011-06-01から1ヶ月間の記事一覧

『日常』と原発事故―「原子力ムラというシステム」をひっぱたきたい

シュクダイ…ワスレタ… ノゾムハ…カントウ…ダイシンサイ… これは漫画『日常』の登場人物・ゆっこが宿題を忘れた時の絶望感から口にした言葉である。この時勢ではさすがに不謹慎だと思ったのか、アニメでは台詞が「宇宙人の大侵略」に変えられていたらしい。し…

登場人物を分類するための一般的手法の提唱―『けいおん!』と『Aチャンネル』を例に

『けいおん!』の登場人物の分類 かいん氏が書いた『2つの萌え概念と「けいおん!」の批評性』という記事は、はてなダイアリー界隈で一時期話題になった「独律説」*1が初めて言及されている記事である。この説自体は上記記事を読んでもらうこととして、ここで…

『とある魔術の禁書目録』と原発事故―上条当麻の言葉から脱原発への道筋を探る

上条さんは原発というシステムを絶対に認めないと思う。なぜならそれは、周辺住民や作業員の命や生活を犠牲にして、大量の放射性廃棄物という未来へのツケを残して、現代の我々が豊かな生活を送れるようにするという、誰かの犠牲を前提としたシステムだから…

桜庭一樹私論1―『GOSICK』と「大人になる」ということ

桜庭一樹と「大人になる」ということ 桜庭一樹の小説に出てくる少女たちは、複雑な家庭環境(親の再婚や家庭内暴力など)のもとに生まれ、何も分かっていないのに知ったような口を利く教師や警察官をずっと見てきた。だからこそ、彼女たちには、大人達の醜い…

『とある魔術の禁書目録』―科学、魔術、そして「再現性」について

『禁書』と再現性 もしあなたが研究者で、論文誌に自分の研究成果を投稿しようとする場合、どういった事が重要になるだろうか。まず第一に、その論文には「新規性」がなければならない。どんなに優れた研究成果であっても、それが一番でなければ意味がない。…

『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』―「想いの伝わらなさ」を克服した物語

『俺妹』におけるテーマの転換 私は以前書いた記事の中で、『俺妹』は「普通と異常の境界」で起こる化学反応を描いた作品だと述べた。すなわち、「オタク文化」についてほとんど何も知らない「普通」の高校生である京介の視点を通じて、妹・桐乃の趣味である…