新・怖いくらいに青い空

アニメ・マンガ・ライトノベル考察

『ゆるキャン△』と韮山反射炉

アニメ『ゆるキャン△ SEASON3』第5話。大井川で吊り橋とダムを巡っているリンと綾乃。一方、なでしこは一足先にキャンプ場に到着し火の準備を始める。リンちゃんのたき火台に薪をぶっ刺すと、ナレーションとともに「世界遺産 韮山反射炉」が出現!

ゆるキャン△』第3期第5話より。

まさかの韮山反射炉である。ちょうどいい機会なので以前私が韮山反射炉に行ってきた時の写真を掲載しておく。

反射炉が建設された目的は、外国船に対抗するための大砲を作ることである。韮山の代官であった江川英龍が幕府に反射炉建設を提言し、1853年に建設がスタート。当初は下田で建設していたが、ペリー達に見つかりそうになったので、慌てて韮山へ移設し1857年に完成した。炉内部で石炭を燃やし、その熱を天井で反射させて一点に集中させることで鋳鉄を溶かし、大砲製造に必要な高品質の鉄を得る。世界文化遺産明治日本の産業革命遺産」に登録されている3つの反射炉のうち、土台・炉・煙突が全て完全な形で保存されているのは韮山反射炉だけである。

当時の技術の粋を集めて作られた反射炉を、薪という極めてプリミティブな道具で表現しているのが面白い。

ところで、この韮山反射炉の見た目上の一番大きな特徴は、レンガの周りに鉄骨が張り巡らされていることであろう。この特徴的な見た目のおかげで、韮山反射炉は他では見られない独特の美しさを醸し出している。ところが、韮山反射炉のパンフレットを見てみると、明治時代にはこの鉄骨は存在していない。現地ガイドの説明によると、この鉄骨は、レンガの崩落防止のために昭和になってから付けられたものだという。現存する文化財が必ずしも昔の姿そのままであるとは限らない、という事実を痛感させられた。