新・怖いくらいに青い空

アニメ・マンガ・ライトノベル考察

『ルリドラゴン』第1巻感想

高校1年生の青木ルリがある朝目覚めると、なんと頭にツノが生えていた。母親によると、実はルリの父親はドラゴンで、その力を受け継いでしまったらしい。

高校の先生やクラスメイトはツノを見て驚き、ルリはちょっとした人気者になる。その後、ルリは教室で火を吐き倒れてしまって、1週間ほど学校を休むが、その後もクラスメイトはルリを温かく迎え入れてくれる。みんなツノが生えてきたという事実を当たり前のように受け入れていて、いつもと変わらない日常が戻る。

ツノが生えた事で特に深刻な事態が起こるわけでもなく、淡々と物語は続く。当初は学校に行きたくないと言っていたルリだったが、クラスメイトはルリを受け入れてくれて、ツノをきっかけに新しい友達ができたりもする。これまでと変わらず、教室にルリの居場所はあり続ける。

ツノが生えるという一大事なのに、ストーリーはユルくまったりしていて、どこか淡々としている。だがそれは取りも直さず、ツノが生えても変わらずに日常が続いているということに他ならないので、読んでいて暖かい気持ちになる。不思議な雰囲気の漫画だ。

(一人だけルリのことを怖がってる子も出てくるのだが、普通とは違う人を前にした時の反応は千差万別であるという当たり前の事実をあえてちゃんと描いているのが良い。この描写を入れただけで、この漫画自体のクイリティがもう一段上がっているように思う。)

最近この手の作品が見られるようになってきたと感じる。具体的には、

  • 主人公が何らかの特殊能力を持ってる
  • 何故か周りの友達や社会が特殊能力のことを受け入れてる
  • 主人公の周りの人達がメッチャ優しい

みたいな特徴を持つ作品。真っ先に挙げられるのは『亜人ちゃんは語りたい』、そして『まちカドまぞく』。『小林さんちのメイドラゴン』もそれに近い系統の作品だろう。

このような作品が次々出てくるということは、現代の日本人は「他人と違うところがあったとしても、バカにされたり仲間外れにされたりせずに、普通の日常を送ることができる」という優しい世界への憧れがあるのかもしれない。