新・怖いくらいに青い空

アニメ・マンガ・ライトノベル考察

『お前ら全員めんどくさい!』第1巻から第5巻までの一宮さん萌えポイントまとめ

【】内は巻数とページ、☆は可愛さレベル1、★は可愛さレベル10を表します。

  • 教員室に入り浸ってゲーム→「友達ができるまで 先生 友達になってください」【1巻、6-10】☆
  • 四六時中先生に付きまとう一宮さん【1巻、11-17】☆☆
  • 栗原さんの発言を聞いて不機嫌になる一宮さん→「私だっ…て…先生のこと…好きっ…だもん…!」【1巻、33-35】☆☆☆☆☆
  • 栗原さんに嫉妬し、彼女が先生のために作ってきた弁当を食べる一宮さん【1巻、53-54】☆
  • クッソかわいい寝顔【1巻、58-61】☆☆
  • 栗原「一宮さんだって先生とイチャイチャしたいとか思うでしょ?」→一宮「はァ?」(赤面)【1巻、76-77】☆☆☆
  • 榎本に嫉妬し不機嫌になる一宮さん【1巻、97-100】☆☆
  • 先生と手を繋ごうとする一宮さん【1巻、120-121】☆
  • 体育をサボって先生に会いに来る一宮「先生の…そういう…たまに優しいとこ…ずるい…」【1巻、126-129】★
  • 慰められて笑顔になる一宮「……チョロ」「そんなだからつけこまれるんですよ」→唐突なキス!→「つけこんで…みた?」【1巻、130-132】★★☆☆☆☆☆
  • 調理実習で三角巾を着用【1巻、137-139】☆
  • サンドイッチの出来を先生に褒められちょっと照れてる顔【1巻、142-143】☆☆
  • 先日のキスを思い出しメッチャ動揺する一宮さん【1巻、148-150】☆☆☆☆☆
  • 「もしかして本気にしてました?」→先生の背中に寄りかかって照れる【1巻、153-155】★★
  • プールでスク水白衣姿【2巻、43-45】★
  • 栗原を助けた一宮「こっちは友達とは思ってませんけどね」(赤面)【2巻、51-52】☆☆☆
  • 補習中プリントの端で手紙を書く一宮→「なんであやまるんですか大体アレは私がしたくてしたんだから先生には」まで書いて赤面【2巻、73-76】★★★★★
  • 榎本「一宮さんこそ先生が好きなんじゃないですか!?」→一宮「は…はあ!?」(赤面)【2巻、80】★
  • 先生と雨宿り中に珍しく白衣と眼鏡を外す一宮さん【2巻、84-85】★★
  • 私服&白衣な一宮さん【2巻、96】☆☆
  • 先生の部屋に看病に来た一宮さん達→寝ぼけた先生に抱きつかれ動揺【2巻、150-153】★★★
  • 家に帰った後も動揺が治まらない一宮さん【3巻、13-15】★★★
  • 次の日学校で先生に会いまた動揺【3巻、17-18】★★★★★
  • 「そんな事なかったですよ」ととぼける→自分の行動を振り返ってまた赤面【3巻、27-30】★★★★★
  • 帰省先でスイカを食べる一宮さん【3巻、57-58】☆☆☆☆☆
  • 拗ねて教員室に入ろうとしない一宮「…別に 何もないです」【3巻、130-132】
  • 先生から頭ナデナデされて子犬のように喜ぶ一宮【3巻、134-138】★★★★★★★★★★
  • 栗原が先生に抱きつく→「先生に触らないでください」【3巻、140-143】★★★
  • 栗原に対抗心を燃やす一宮「私 先生のこと 好きですから」【4巻、7-10】★★★★★
  • 先生「お前のは…その そういうんじゃないって…分かってるから 変な誤解とかしてないから…安心しろ」→一宮さん号泣【4巻、14-19】★★★★★★★★★★
  • 涙を拭いた後強がる一宮「泣いてません 見間違いじゃないですか」【4巻、21-22】★★★★★
  • 榎本「本当はやっぱり先生のこと好きなんじゃないですか?」→一宮さん無言のまま赤面【4巻、26-27】★★★★★★★
  • 先生と二人三脚をすることになった一宮→体操服&白衣姿→先生と密着して赤面→バランス崩して転倒→さらに赤面【4巻、41-44】★★★★★★★★★★★★★★★
  • 榎本姉妹に対抗心を燃やす一宮→白衣脱ぐ→「ホラ!練習しますよ!!」【4巻、50-52】★★
  • 慣れない運動をして疲れがたまってる一宮さん【4巻、56-60】★★★★★
  • 体育の後、貴重なお着替えシーン【4巻、63】☆☆☆☆☆
  • 先生から心配されて照れる一宮【4巻、65】★★★
  • 保健室で寝込む一宮「私は先生と一緒に1位になりたい」「わ…私だって すごいなって 先生に…言われたい…」【4巻、70-71】★★★★★
  • 胸元がはだけていることに気付き赤面【4巻、72-73】★★★★★★★☆☆☆☆☆
  • 体育祭本番、先生と一緒に楽しそうに走る一宮さん【4巻、76-82】★★★★★★★★
  • みんなとカラオケに行き恥ずかしがりながらも熱唱→店員が入ってきて演奏中断【5巻、40-42】★★★★★★★★★★
  • チャイナドレス姿【5巻、48-51】★★☆☆☆☆☆
  • 恥ずかしがりながら「あのっ! き…今日は…その…ありがとう…ございました」【5巻、54-56】★★★★★★★★★★
  • チャイナドレス姿の写メを先生に見られて動揺する一宮さん【5巻、64-67】★★★★★★★★★★★★★★★
  • 写メを消す消さないの押し問答→「…だって 似合う…って 言われたし…」【5巻、73-74】★★★★★★★★★★
  • 爆笑する先生→一宮「好きな人に自分の写真を持っててほしいって思うのは おかしなことですか」→先生「おかし…く ないです」→一宮「分かればいんですよ…分かれば」【5巻、76-78】★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
  • 先生と二人で文化祭の買い出し→街中で手を繋ごうとして先生に怒られる一宮【5巻、88-89】★★★★★
  • 買い出し中に先生の優しさに触れ照れる一宮「優しくされたと勘違いするからやめてください」【5巻、92-96】★★★★★★★★★★
  • 一宮「私ってめんどくさいですかね…」→先生「ま…まあ俺個人としては お前のコト イヤではない…かな…」→照れる一宮【5巻、104-105】★★★★★★★★★★
  • 先生が証明写真を撮ろうとするところに割り込む一宮さん【5巻、106-109】★★★★★★★★★★★★★★★
  • 先生が他の生徒に優しくしているのを見て落ち込む一宮さん(ベンチの上で体育座り)【5巻、125-128】★★★★★★★★★★★★★★★
  • ついに先生に告白!「私 国彦先生のことが好きです」【5巻、130】★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
  • 「ちゃんと聞いてください!」「私は先生のこと ちゃんと 好きです」【5巻、131-132】★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
  • 何か言おうとする先生を制止する一宮さん「ほ…ほ…本気にしました? あ…あいかわらずチョロいですね」【5巻、135-136】★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

……と、まあ、こんな感じで、一宮カズミさんの可愛さのハイパーインフレがとどまる所を知らない勢いなので、さっさと『お前ら全員めんどくさい!』アニメ化しろ!って思います。

土橋真二郎作品の世界―『扉の外』『ツァラトゥストラへの階段』

土橋真二郎さんが文章を書き、白身魚さんがイラストを描いたライトノベル『扉の外』『ツァラトゥストラへの階段』を今更ながら読みました。私が思うに、彼の作品の素晴らしい点は、ゲーム性の強い世界観を有すると同時に、登場人物の心情や心理状態なども丹念に作りこまれているという点です。普通この手の作品というものは、物語を動かすゲームの「仕組み」に重きが置かれていて、登場人物の内面とかは結構いい加減である場合が多いわけです。しかし、土橋作品ではこの2つを見事に両立させています。例えば、集団から必要とされていないと感じた主人公が次第に精神を病んでいく様子、普段はおとなしい少女が嫉妬と疑心暗鬼の中で狂っていく様子、そういった各登場人物の内面の描写は実に鬼気迫るものがあります。

そして、これらの作品を読み終わると「人間って愚かだなあ」ということを再認識させられます。お互いに協力すれば何の問題もなく平和に過ごせるのに、作中の登場人物たちは結局そうすることができません。ある人は相手への不信感・疑心暗鬼のせいで、またある人は自らの欲望に目がくらんで、結局武器を手に取って戦う道を選択してしまいます。我に返ったときには、時すでに遅し、全てを失って奈落の底に落ちてゆくのです。作中のゲームが実に良い舞台装置として、そして時には社会心理学的あるいはゲーム理論的なモチーフも多用しつつ、「人間の愚かさ」みたいなものが全編にわたって描かれているのです。

さて、土屋真二郎・白身魚コンビによる第3作目としては『コロシアム』という作品があり、そして第4作目として『女の子が完全なる恋愛にときめかない3つの理由』が今月発売されました。これらの作品についても、読み終わったらまた感想を書きたいと思います。

『いつか世界を救うために』ネタバレ有り感想

まあ、アニメ版のサイトやCMを見てしまえば、ネタバレも何もあったもんじゃないんだけど、やっぱり『いつか世界を救うために』は前提知識を入れないで読んだ方が面白いと思います。以下では若干ネタバレを含みますのでご注意を。

さて、こう言っちゃなんですけど、クオリディア・コードの東京編ノベライズである『そんな世界は壊してしまえ』はあくまでもアニメ版の前日譚として描かれていたので、その作品単体で判断した場合にはそれほど面白いとは思えないんですよね。でも、神奈川編ノベライズである『いつか世界を救うために』は、前日譚としての側面と同時に、作品単体としてもかなり面白いので、2巻で終わるのは非常にもったいないと感じます。

まず第一に、姫の周りにいる人達がみんな変態で、その言動がいちいち笑える。神奈川の首席・舞姫の天真爛漫な笑顔と、その裏に隠された天才の孤独。そんな姫をずっと見守っていたいという熱意が強すぎるあまり、心の中の変態性を爆裂させてしまう周囲の人々。そんな彼女らの掛け合いが何とも言えない面白さを醸し出しているわけですが、その一方で、クライマックスではきちんと感動的な場面も用意されているという、結構上手い作りになってるんですよ。実際、真実を知ったシノが、自らの【世界】が発現した理由を知り、その後約束の場所で姫と「再会」を果たす場面では、不覚にも泣きそうになりました。

つまりこの作品は、一見すると登場人物に変態しかいないヤバい作品ですが、実はとても王道の百合ラブストーリーでもあるわけです。アニメ版では、そんな2人の愛し合う姿がこれからもたくさん見れると思いますので、期待して視聴していきたいと思います。

『そんな世界は壊してしまえ』第2巻―特に意味のないおもらし描写が読者を襲う!

あ…ありのまま今起こった事を話すぜ…

荒廃した東京で朱雀とカナリアがトップに上り詰めるまでの物語だと思って『そんな世界は壊してしまえ』第2巻を読み始めたら、いつの間にか、鶉野珠子ちゃんのおしっこおもらしを描く物語になっていた…

な…何を言ってるのか分からねーと思うが…

おれも何が起こったのか分からなかった…

頭がどうにかなりそうだった…

萌えだとか超展開だとか そんなチャチなもんじゃ 断じてねえ

もっと恐ろしい「変態」の片鱗を 味わったぜ…

最初に読者を襲う衝撃的なおもらしシーン

作中の東京では、【世界】と呼ばれる特殊能力を宿した少年少女たちが、東京湾からやってくる強大な敵・アンノウンと戦っています。しかし、アンノウンとまともにやりあえるのは戦闘向きの【世界】を獲得したエリートのみ。戦えない者は「落伍者」として東京近郊の廃墟での生活を余儀なくされています。

本作のヒロインであるカナリアさんは、廃墟で暮らす人たちを救いたいという思いから活動をしているのですが、…第2巻の冒頭、廃墟で暮らす少女とカナリアさんが何やら押し問答をしているようです。

「ですから、うう、今、困ってますから……」
迫られてたじたじとなっているのは、この廃墟で暮らす少女だ。
年齢はカナリアや朱雀よりもいくらか若いぐらいだろう。眉は八の字に固定されて、内気そうな唇をすぼめて、肩を卑屈に縮めている。
粗雑に編みこんだ髪が一房、頬の横でふるふると震えていた。
「はいはい、わかりますわかります! 困ったときこそ笑顔ですよ! その困ってる理由をお聞かせください! ええとお名前は……そう、珠子ちゃん! 覚えていますとも! 鶉野珠子ちゃんでしたね!」
「ううううう……そんなに大声で言わないで……」
鶉野珠子と呼ばれた少女は、周囲の視線を気にするように頬を赤くしてうつむいた。
前かがみの内股となって、自信の太腿をもぞもぞと擦り合せて、居心地悪そうに小さく足踏みする。
明らかになんらかの生理的欲求を堪えている仕種であり、視線の先には廃墟の端に設けられた共用トイレがあり、そのあいだには両手を広げたカナリアがしっかりと立ちふさがっているのである。*1

ちょwwwカナリアさん何やってんすかwww

ていうか、鶉野珠子って、お前誰だよ。初登場シーンでいきなりこんな恥ずかしい姿披露しちゃったよ。

だがしかし、ここから事態はもっと大変なことに。

「あ、さ、触らないで……」
カナリアに肩をがしっと掴まれ、鶉野は悲痛な声をあげた。
「はっ! わたしわかりました! もしや、お身体のどこかが痛むのでは!? 病気ですか怪我ですか! 至急、医療チームの編成を!」
「ち、ちが、ちがいま、あ、まって、おねがい、まって……」
前後左右に激しく揺さぶられて、声の高さが一方通行の階段をどんどん登っていく。
「や、や、だめ、これだめ、ほんとだめ、ゆすっちゃだめ、だめだめだめ、やだ、やだやだいく、とまって、とまっ、でちゃ、でちゃ、でちゃっ」
「でちゃ? るちゃ? りぶれ?」
「あッ、あっ、あ――」
張りつめきった弦のように、ビクン、と鶉野は硬直したあと、
「……ああああああああ~っ……」
視線を中空に彷徨わせ、全身をいっぺんに弛緩させた。*2

ぎゃああああ! やりおった! この子、本当にやりおったよ! 本編始まってまだ10ページくらいしか進んでないのに、おもらししちゃったよ…。なんてことだ…。

しかも、その後の描写がまた生々しいんです。

ぴちゃぴちゃ――びちゃびちゃ……。
辺りには、ただ、音だけが秘めやかに響く。
廃墟は陥没した地形の真ん中にあり、雨水の湖に風が吹きつけるたび、水面を波立たせるのだろう。聴こえるのはその水音である、もちろん。
「あふ、あふ、ふわぁ……」
弱気な鶉野の唇が、だらしなく半開きになってしまっていた。そのゆるんだ隙間から、ヨダレのような液体が一筋、じょわじょわちょろちょろと漏れ出している。
焦点を結ばない眼差しが、逃れえない絶望とほのかににじむ法悦の狭間で、甘く蕩けたうつろな光を宿していた。
すべてが終わったあとには、硬い沈黙が訪れる。
ぴちゃぴちゃと奏でられていた水音も、いまや完全に止まった。風が止まったということである、もちろん。
「ううううううううううう……」
さながら人として大事なものを喪ってしまったかのごとく。
身体の芯から崩れ落ちるような格好で、鶉野はその場にうずくまった。*3

この文章の横には、まさに「逃れえない絶望とほのかににじむ法悦の狭間」にいる少女のイラスト(イラスト担当・カントク)まで付いてます。実に素晴らしいので、これだけでも一見の価値があります。

そして、あくまでもこれは、「水音」なのです。この作者ほどの変態にもなると、「おしっこ」とか「おもらし」なんていう直接的な表現は一切使いません。「びちゃびちゃ」という水の音がするのは、あくまでも風によって湖面が波打ったからからなのです、もちろん。

さて、どうやらカナリアさんは、廃墟に住む人達に「何か困ってる事はないか」と聞いて回っていたらしいです。

「はい……。『女性用のお手洗いがないこと』に困っているそうです」
(中略)
朽ちた板きれで四方を囲むようにして、男女共有のトイレがひっそりと設けられている。扉のまえで並んでいたら、なかの音がすべて聞こえてしまうほど簡素なつくりだ。
神経が太い束で構成されている朱雀は考えたこともなかったが、少女たちのなかには、異性の目を気にして、限界まで利用回数を減らすように試みる者もいるらしい。
「……犠牲は大きかったようだがな……」
さらに視線を横に移せば、先刻の悲劇を体験した鶉野がいる。腐った魚のような眼をして、地べたにぐったりと横たわるばかりだ。朱雀は静かに黙祷した。*4

なるほど…そういうことだったのか…。鶉野さん、限界まで我慢して我慢してもう無理我慢できない!ってなってトイレの前に来て、カナリアさんに捕まっちゃったんですね…。

繰り返しますが、彼女がおもらししたなんて誰も言ってませんからね。先ほどのイラスト、廃墟におけるトイレ事情、「腐った魚のような眼をして」横たわる鶉野さん――ありとあらゆる傍証はそろってますけど、そこにいるのは、あくまでも、何故か下半身水浸しになってる少女っていうだけですから! 合掌…。

その後も断続的に発生するおもらし!

その後、朱雀の働きかけにより「落伍者」たちも戦闘訓練を再開します。それは、落ちこぼれでも戦えるということを示すため。世界から必要とされる存在になるため。

「う、うう……むり、無理だよう……」
へっぴり腰の鶉野は、早くも涙目だ。前屈みになって、内腿を何度もすり合わせ、すがるように杖を必死に掲げながら、
「また出ちゃう、出ちゃう、なんで、なんで……」
なにかを堪えるように、ぶるぶると全身を弱気に震わせる。*5

って、おい! なんでだよ!

何でまたおしっこ我慢してんだよ。さっきはカナリアさんがいてトイレ行けんかったからやろ。今度は別に誰も邪魔してないやん。何で内腿すり合わせてんだよ。

コンクリートの残骸に片膝をつく朱雀に、鶉野がおずおずと近づいてくる。
バスタオルを首や体に巻きつけ、運動用の新しいパンツに着替えた脚をもじもじとすり合わせて、
「なんで、私たちのために、ここまでしてくれるんですか。……私たちは、なにもできないのに。私たちの訓練は、無意味なのに」*6

結局また漏らしてんじゃねえかwwwww

こんな具合で、鶉野さんおもらし描写は何回も登場してきます。しかも、何の意味もない場面でサラッと出てくるのです。

「はわわ――あっあっ……」
鶉野はがくがくと内腿を擦り合せて、大量の汗を垂れ流した。*7

その日の訓練は遅くまで続いた。
落伍者たちの【世界】は、どれもこれもろくな能力ではない。たとえばすり合わせた内腿から水をちょっと多めに排出できるとか、せいぜいその程度だ。*8

見れば、コウスケの座りこんだ地面、鶉野の立つ足元は、夜の土がびしゃびしゃに湿っている。
あれが全部、汗だとしたら、シャツから絞れるほどの量の汗をかいていることになる。言葉と裏腹に、努力した成果ではあるのだ。*9

朱雀さん、それ汗じゃないっす。能力でもないっす。まあ、訓練で汗をかいたのは本当なんでしょうけど、果たしてそのうちの何割が「汗以外」の成分なんでしょうか…。

もうここまで来ると、彼女は元々からトイレが異様に近いか、あるいは、冒頭のおもらしのせいでおしっこ我慢&おもらしの快感に目覚めちゃったか、そのどちらかだと思うんですけど。

おもらし、それは、少女の悲しみと絶望

そして、ついに「落伍者」たちが実際の戦闘に参加する日がやってきました。しかし、圧倒的に力が足りない彼らは、思い通りの活躍ができません。戦場で右へ左へ振り回されてボロボロになり、味方のエリート戦闘員からも罵倒され……

「ううう……うう…」
今にも泣きだしそうな、気弱な女生徒の顔が間近にある。どれほどぼろぼろに貶され、罵られ、ぶつかられてきたのだろうか。制服はあちこち擦り切れ、小柄な体躯は生傷だらけだ。
「あっ、あっ――」
少女は自分の手首を見つめて、小鳥のように呻いた。細い内腿を、ぶるぶるじょろじょろと擦り合せている。*10

って、また内腿すり合わせてるのかよ! 「ぶるぶるじょろじょろ」ってもうそれ、完全にちびってんじゃねえか! ああもうシリアスな場面が台無しだよ!

しかし、ここからとんでもない事が起こります。なんと、「落伍者」たちが裏切り行為をはたらき、味方であるはずのエリート戦闘員を攻撃し始めたのです。背後から予想外の攻撃を受け大混乱に陥る戦場で、鶉野さんが話し始めます。

「――私、少し、勘違いしていたみたいです」
(中略)
「……ヘンな夢を見ていたのかも、しれません。力の劣る人間が、能力のある人と――すごい人と、同じ立場になんてなれるはずがなかったのに……最初から、わかっていたはずだったのに……」*11

どんなに努力しても成果が出ない。自分は社会から必要とされていない。邪魔物と罵られる立場からは絶対に抜け出せない。ならばいっそのこと、自分でこの社会を壊してリセットしてしまえばいい。そんな絶望を抱いた鶉野さんの足元には、もちろん…

編みこんだ髪が、彼女の横顔をくすぐっている。汗とも涙ともつかない滴が、ぽたりと、足元を湿らせていく。
(中略)
もはやその顔に、涙はない。上から張りつけられたような、か弱く窺うような笑みだけが浮かんでいる。
「価値を示す……そんなこと、できるかな。いえ」
はにかんだ横顔が、静かにうつむく。
「できるわけ、ないじゃないですか」
その言葉は、周囲の仲間を代表するように。
「価値がないものはどうやったって無価値なんですよ」
戦場のなかで、ぽつんと、一際大きく聴こえた。*12

そうか…そうだったのか…。

鶉野さんにとって「おもらし」とは、涙、悲しみ、絶望に他ならなかったのです。鶉野さんが戦っていたのは、アンノウンでもなく、尿意でもない。彼女はただ、「自分は劣った人間だ」という現実を変えるために戦っていたのです。

それはどんなに苦しく辛い戦いだったことでしょう。目に涙を浮かべ、前屈みになり、内腿をすり合わせて、必死に我慢して、我慢して、我慢して…、でも、そこまで頑張っても「自然の摂理」にはどうしたって抗えずに、「自分の価値を示したい」という鶉野さんの夢はチョロチョロ、ビチャビチャと音を立てて地面にこぼれ落ちていくのです!

そう。この作品は、どんなに努力しても「落伍者」という運命から逃れられない、そんな悲しみと絶望を、「おもらし」を用いて見事に表現していたのです。作者のさがら総さんには、称賛とともに次の言葉を送りたい。

変態だー!!!!

AA略

今後の展開

鶉野さんはその後、味方を攻撃した罪により、内地に強制送還されてしまいます。戦闘員たちのリーダーである嘴広もまた、他の「落伍者」たちによって責任を擦り付けられ、最後は内地送りになります。鶉野さんにとっては、あまりにも夢も希望もない物語ですが、最後にちょっとだけ救いが用意されています。

一方、自分が目をかけてきた人間に裏切られる形となった朱雀は、ついに、この世界は全てが狂っている、こんな世界は壊してしまえ、という心境に達します。しかし、そんな狂った世界の中で唯一、壊すべきでない大切なものを見出したのです。それこそが、カナリアが周囲の人々に向ける無償の愛に他ならなかったのです。確かに彼女の利他精神は最早「狂気」と言っていいレベルにあるのですが、朱雀は、そこに絶対的に揺るがない「愛」の本質を見たのです。

これは、愛を知らずに育った青年が、自分と何もかもが違う少女の放つ狂気に怯え、次第にその中に真の愛を見出していく物語。この続きは、7月から始まるアニメ『クオリディア・コード』で見ることができるでしょう。

*1:20~21頁

*2:21~22頁

*3:22~24頁

*4:37頁

*5:113頁

*6:116頁

*7:136頁

*8:144頁

*9:150頁

*10:166頁

*11:170~171頁

*12:171~172頁

2016年上半期アニメ総評

2016年上半期に放送されたアニメに関する総評です。と言っても、最終話まで見たのは計10作品しかないんですけどね。『僕だけがいない街』『ハルチカ』『この素晴らしい世界に祝福を!』『迷家-マヨイガ-』『キズナイーバー』については、個別に記事を書いているので、そちらを参照してください。

『僕だけがいない街』総評 - 新・怖いくらいに青い空
『ハルチカ~ハルタとチカは青春する~』総評 - 新・怖いくらいに青い空
『この素晴らしい世界に祝福を!』総評 - 新・怖いくらいに青い空
『迷家-マヨイガ-』総評 - 新・怖いくらいに青い空
『キズナイーバー』と『異能バトルは日常系のなかで』の共通点 - 新・怖いくらいに青い空

以下では、『だがしかし』『無彩限のファントム・ワールド』『くまみこ』『三者三葉』『ハイスクール・フリート』について、手短に総評を述べます。

だがしかし

ほたるさんの素晴らしさは、巨乳で美人でナイスバディな体していて、ココノツ君などの男性陣が赤面してしまうようなエロさを醸し出しているにも関わらず、本人がそれについて完全に無自覚でいるという点だろう。サヤ師についても同様である。基本ノースリーブでブラが見えそうなほど薄着でいるのに、その無防備さについて本人も周りも一切意識してないところが逆に素晴らしいのだ。

だがしかし、何にも増して可愛かったのは、主人公である鹿田ココノツきゅんであることは言うまでもない。少年のような無邪気な面を残しつつも、ほたるさんの事が気になって仕方がないムッツリスケベ感を隠しきれてないところが実に可愛い。また、そのことを豆くんにからかわれて顔を真っ赤にしてるのを見ると「ああ~~~萌え死ぬんじゃ~~~」という気持ちになる。基本的に三白眼の少年キャラは可愛いと相場が決まっていて、最近で言えば『バカテス』のムッツリーニきゅんやアキちゃんなどが挙げられるだろう。萌えに性別は関係ないのだ。

本作の骨格となる駄菓子の描写についても、様々な雑学やあるあるネタを織り交ぜてその駄菓子の魅力を最大限に引き出すことに成功していたと思う。実際に私も、視聴後にいくつかの駄菓子を買ってみたりしたので、駄菓子販促アニメとしては大成功と言えるのではないだろうか。

無彩限のファントム・ワールド

有名な映画会社が最高のスタッフや役者を揃え莫大な製作費をかけて作った映画が全くヒットせずに大赤字になることもあれば、全く無名の監督が低予算で作った映画が多くの観客を魅了し賞を総なめにすることもある。これはアニメも同じだ。現代日本においてほぼ最高レベルの技術を持つスタジオ、そこの優秀なスタッフ、豪華な声優陣、これだけ揃えてもダメなものはダメなのだ。

正直言って、作画も崩れ気味で背景などもいい加減なB級のアニメだったら、ここまで批判したりしないだろう。ストーリーはどうでもいい、舞先輩のおっぱいと小糸ちゃんのツンデレさえ見れればそれでいい、と割り切ることもできた。でも、京アニが目指しているのはそういうアニメじゃないし、ストーリー・演出・美術といったあらゆる面で完璧に近いものを目指しているはずの会社なので、あえてここで批判している。

くまみこ

最終回を見た後、昔とある観光地で見たサルの曲芸を思い出した。首輪で繋がれたサルが調教師の指示に従って芸をして、上手くできた時はエサを貰える。指示した通りの動きができなかった時は、調教師が首根っこの辺りを掴んで、サルが明らかに嫌そうな顔をしている。そうやってサルを脅しながら一通り芸を終えると、お客さんが目の前にあるカゴにお金を落としていく。熊出村がまちに対してやっているのは、まさにこの調教師と同じことである。嫌がるまちを無理やり引きずり出して都会に連れて行き、都会の人間が熊出村に金を落としてくれるように、まちに芸をさせる。その調教係が良夫という真正サイコパスのゴミクズ男だ。

そして普段は、まちが逃げないように村に閉じ込めて、「都会は怖いところなんだよ~」と刷り込みを行っているのだが、その主犯格は間違いなくナツである。ナツ!お前もか! 以前の記事でも述べた通り、ナツはまちの幸せを誰よりも強く願ってはいるのだが、同時に、彼女をずっと側に置いておきたい、村から出て行かないでほしい、という歪んだ愛情を持ち合わせているのだ。狡猾なナツの作戦によって、まちは病的なまでの都会コンプレックスを植え付けられ、村の外では生きていけない体になってしまったのである。そういう意味では、ナツも良夫や他の村民と同類ということになるのだが、ナツ自身もまた村の外では生活できない、まちと一緒でなければ生きて行けないという悲しい生き物なのだ。

これを悲劇と言わずして何と言うのだろう。

三者三葉

第8話以降、近藤さんのことが気になって仕方がない。西山が風邪で休んだだけで休み時間ぼっちになってるのって、たぶん物凄く空気読めないせいでクラスメイトから嫌われてるからだよね…。あと、葉山ちゃんにあれだけ粘着してる西川が近藤さんに対してはいつも一緒にいるだけで実質ほとんど無関心なのとか、近藤さんが昼休みに代わりの話し相手見つけてそれ以来西川にメール送らなくなってるのとか、近藤さん界隈の闇が深すぎて震えが止まらん。

こんな感じで各キャラクターが、文字通り三者三様の闇を抱えながら学園生活をエンジョイしてるという、他に類を見ない萌えアニメでしたね。

ハイスクール・フリート

ガルパンの特殊カーボンとかいうガバガバな設定に対してもちゃんと批判をしている者、あるいはその批判に対してきちんと論理的・科学的に反論できる者だけが、ハイフリに石を投げなさい。少なくとも私は、第4話辺りで謎のネズミが出てきた時点で「これは女の子がキャッキャウフフしながら船を操縦するのを見て楽しむアニメなんで、設定とかは深く考えないでね~」っていうアニメスタッフからの全力のオーラを感じ取ったのであまり深く考えないことにしてました。また、この手のアニメでストーリーとか脚本について話し出すと、結局は「個人の好みの問題」ってことになっちゃうんで、そこを深く掘り下げても意味がないのかなあと思います。

キャラクターについて言えば、内田まゆみちゃんが断トツで可愛かったです。もちろん艦橋や機関室にいるメンバーに比べれば出番も少ないのですが、水着姿もパンツも見れたし、後悔ラップも見れたし、もう、余は大満足じゃ。また、カップリングについて言えば、クロちゃんとマロンの幼なじみカップルもいいのですが、以前の記事でも書いた通り、やはりメイタマが最強だったと思います。

今後、この作品がどういう展開をしていくか分かりませんが、また何かあったら記事を書きたいと思います。