早押しクイズで「日本プロ野球界において、平成最初の完全試合達成者は誰?」という問題があったとしたら、答えは槙原寛己(1994年5月18日に達成)になる。
ところで、早押しクイズにおいては、「日本で一番高い山は富士山ですが、日本で二番目に高い山は何?」(答え:北岳)みたいに、文章と文章を「ですが」で繋げる引っかけ問題が出される場合がある。なので、「平成最初の完全試合達成者は槙原寛己ですが、」に続く問題があったとしたら、どんな解答のパターンがあるか考えてみたい。
①「日本プロ野球界において、平成最初の完全試合達成者は槙原寛己ですが、令和最初の完全試合達成者は誰?」
これが一番可能性の高い問題だろう。槙原寛己は平成唯一の完全試合達成者だが、そこでわざわざ「平成最初の」という言い回しをしているということは、その後に「平成最初」と対応する言葉が来る可能性が高い。つまり「令和最初」の完全試合が答えになるなと推測できる。答えはもちろん佐々木朗希となる。
②「日本プロ野球界において、平成最初の完全試合達成者は槙原寛己ですが、昭和最初の完全試合達成者は誰?」
佐々木朗希では難易度が低すぎるので、「令和最初」ではなく「昭和最初」が聞かれる可能性もある。日本で最初に完全試合がなされたのは1950年(昭和25年)6月28日のことであり、答えは藤本英雄となる。令和最初と比べると難易度は格段に上がるが、ある程度の野球ファンあるいはクイズプレイヤーなら知っている知識だろう。
③「日本プロ野球界において、平成最初の完全試合達成者は槙原寛己ですが、昭和最後の完全試合達成者は誰?」
例えば「20世紀最後の日本人ノーベル賞受賞者は白川英樹ですが、21世紀最初の日本人ノーベル賞受賞者は誰?」(答え:野依良治)のように、「ある時代の最後」と「その次の時代の最初」が対になってるクイズも有り得る。この場合の答えは1978年8月31日に達成した今井雄太郎ということになる。相当難しい問題だが、槙原寛己の一つ前の完全試合ということで野球ファンあるいはクイズプレイヤーなら知っていてもおかしくはない。
④「日本プロ野球界において、平成最初の完全試合達成者は槙原寛己ですが、平成最後の完全試合達成者は誰?」
平成で完全試合を達成したのは槙原寛己だけなので、当然、「平成最後」の完全試合達成者も槙原寛己である。答えが問題文中ですでに読まれているという引っかけ問題。だが、例えば「都道府県を五十音順に並べた時、一番最初にくるのは愛知県ですが、一番最後にくるのはどこ?」(答え:和歌山県)のように、何かの「最初」と「最後」が対になってる問題はよくある形式だと言えよう。
⑤「日本プロ野球界において、平成最初の完全試合達成者は槙原寛己ですが、平成最初の三冠王は誰?」
何らかの完全試合達成者を聞いてくると思わせておいてからの変則的なパターン。だが、完全試合と三冠王という、野球において大偉業とされるもの2つを対比させているので、問題文として不自然ではない。この問題の答えは、平成唯一の三冠王である松中信彦となる。
ここまでのケースをまとめて、早押しクイズで出題された時にどこでボタンを押すべきか見てみよう。
- 「日本プロ野球界において、平成最初の完全試合達成者は誰?」 答え:槙原寛己
- 「[略]は槙原寛己ですが、令」 答え:佐々木朗希
- 「[略]は槙原寛己ですが、昭和最初」 答え:藤本英雄
- 「[略]は槙原寛己ですが、昭和最後」 答え:今井雄太郎
- 「[略]は槙原寛己ですが、平成最後の完」 答え:槙原寛己
- 「[略]は槙原寛己ですが、平成最初の三冠王は誰?」 答え:松中信彦
一応冒頭で「日本プロ野球界において」と言っているのでメジャーリーグや他のスポーツについては考えなくてよいということが分かる。この状況で「ですが」の後に「令」が来たら、これはもう佐々木朗希だろう。
一方、「ですが」の後に「昭」が来た場合は、選択肢がまだ2つあるので、「最初」か「最後」かをきちんと聞き取る必要がある。
問題なのは「ですが」の後に「平」が来た場合である。「平」と聞こえてすぐに「どうせ引っかけ問題で答えは槙原寛己だろ」と思って押したら、実は三冠王みたいなトリッキーな問題の可能性もある。慎重に問題を聞いて答えるようにしたい。
以下は補足だが、問題文が「日本プロ野球界において、平成最後の完全試合達成者は槙原寛己ですが、」に変わった場合を考えてみたい。要するに「平成最初」が「平成最後」に変わっただけである。
この場合、「ですが」の前後の組み合わせとして「平成最後/令和最後」が来ることは有り得ない。令和時代はまだ終わっていないので、令和最後の完全試合が誰なのかはまだ分からないからだ。だが、「平成最後/昭和最後」という組み合わせの問題文で今井雄太郎が答えという可能性はまだ残されている。
また、「平成最後/昭和最初」という組み合わせも有り得ないだろう。「ある時代の最後」と「その一つ前の時代の最初」では、問題文が対になっていない。日本語として不自然ではないが、このような問題が出されることは普通考えられない。一方で、「ある時代の最後」と「その一つ後の時代の最初」であれば、対の関係は成立する。よって、「平成最後/令和最初」と聞かれて、答えが佐々木朗希というパターンなら十分あり得る。
「平成最後/平成最初」については、上で見た④と同じ構造の引っかけ問題なので、答えは槙原寛己である。「平成最後/平成最後」についても、構造は⑤と同じなので、「これは完全試合とは別のことが答えになってるな」という推測が立つので、答えは松中信彦などが考えられる。
以上までの結果をまとめてみよう。問題文の「ですが」の前/後が、
- 平成最初/令和最初 ⇒佐々木朗希
- 平成最初/令和最後 ⇒※この組み合わせは有り得ない
- 平成最初/昭和最初 ⇒藤本英雄
- 平成最初/昭和最後 ⇒今井雄太郎
- 平成最初/平成最初 ⇒松中信彦など
- 平成最初/平成最後 ⇒槙原寛己
- 平成最後/令和最初 ⇒佐々木朗希
- 平成最後/令和最後 ⇒※この組み合わせは有り得ない
- 平成最後/昭和最初 ⇒※この組み合わせは有り得ない
- 平成最後/昭和最後 ⇒今井雄太郎
- 平成最後/平成最初 ⇒槙原寛己
- 平成最後/平成最後 ⇒松中信彦など
よって、「ですが」の後が令和だった場合は、答えになり得るのは佐々木朗希のみである。
「ですが」の後が昭和の場合は、答えは藤本英雄か今井雄太郎の二択。だが、「ですが」の前が「平成最後」だった場合は、藤本英雄が聞かれることは無いので、答えは今井雄太郎の一択となる。