新・怖いくらいに青い空

アニメ・マンガ・ライトノベル考察

2012-01-01から1年間の記事一覧

『氷菓』のオープニングに京都アニメーションの本気を見た

いやー、驚いた。アニメ『氷菓』のオープニング映像の圧倒的クオリティ。オープニングがそのアニメの「顔」となる以上、そこに持てる技術の全てを注ぎ込むのは当たり前と言えば当たり前だが、それにしても京アニ、頑張りすぎでしょ。まず目を引くのが、灰色…

受け継がれるゴンゾの遺伝子と「スカートはいてない」の誕生―『咲-Saki-阿知賀編 episode of side-A』私論

株式会社ゴンゾとそれに関連するアニメのパンツ表現についてちょっと整理してみよう。視聴者の期待や表現規制を逆手に取る「ぱんつはいてない」表現がいつ頃から始まったのか、詳しいことはよく分からないが、アニメ『咲-Saki-』が放送された2009年を一つの…

『ブラック★ロックシューター』が教えてくれたこと

傷ついて、傷ついて それでも私は、あなたと繋がる! (『ブラック★ロックシューター』、第8話) いやあ、良いですねえ。実を言うと私は、こういう「傷つけ合う事を怖れずに前へ進んで行こう」的なメッセージが大好きなんですわ。誰だって、他人とぶつかり合…

『Aチャンネル』第3巻―繊細なトオルンの心理を見事に表現していて素晴らしい

バットで頭を打ったるん。それを見たユー子、いつもバットを持ち歩いてるトオルンがるんを殴ったと勘違い。「てめえ! 俺のトオルンに何しやがるんだ、ゴルァ!」という読者諸兄の声が聞こえてくるようだ。で、何も悪くないのに叱られたトオルンは・・・。ト…

『ゆゆ式』第4巻―相変わらず唯の表情が非常に可愛くて素晴らしい

本当に凄い。手の中指と薬指の間を開けるやつ(あずにゃんがやってた例の手の体操)を「むずかしいやつ」と形容するセンス! そして何より、この場面に限らず、唯がいつものメンバーと一緒に爆笑してる姿は本当に可愛い。唯は普段はクールだけど、実はすごく…

部活動論3―『僕は友達が少ない』、隣人部

私がアニメ『僕は友達が少ない』をあまり楽しめなかったのは、小鷹に関する周囲の偏見が解消されるどころか、むしろ悪化しているという事実に、冗談では済まされないゾッとする感覚を抱いたからだと思う。これは、現実世界の差別の構図と同じだ。小鷹は髪が…

『ココロコネクト ユメランダム』私論―「能力の行使」と「自分の意志を持つこと」

はじめに ココロコネクト ユメランダム (ファミ通文庫)作者: 庵田定夏,白身魚出版社/メーカー: エンターブレイン発売日: 2012/02/29メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 58回この商品を含むブログ (24件) を見るアニメ版のキャストも決まり、いよいよ盛り上が…

荒川弘私論―『百姓貴族』と「自然への介入」について

荒川弘先生の『百姓貴族』が面白かった。やはり『鋼の錬金術師』で描かれている生死観・倫理観は、作者が子供の頃から農業と関わる中で培ったものなんだろうなと思った。彼女の作品の根底には、人知の及ばないものに対するある種の諦観と、自然との共生とい…

『スクール・デモクラシー!』と現代民主主義の問題点

スクール・デモクラシーの暗部 スクール・デモクラシー!1 (講談社ラノベ文庫)作者: 吉村夜,鍋島テツヒロ出版社/メーカー: 講談社発売日: 2012/02/02メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 20回この商品を含むブログ (9件) を見る『スクール・デモクラシー!』は…

部活動論2―『LSD〜ろんぐすろーでぃすたんす〜』、陸上部

『LSD』に描かれる陸上あるあるネタが面白い LSD ?ろんぐすろーでぃすたんす? (1) (まんがタイムKRコミックス)作者: ほた。出版社/メーカー: 芳文社発売日: 2012/01/27メディア: コミック購入: 4人 クリック: 60回この商品を含むブログ (12件) を見る近年、…

『これからの正義の話をしよっ☆』を読んで、これからのバレンタインデーの話をしよう

第1章 問題の提起 これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学作者: マイケル・サンデル,Michael J. Sandel,鬼澤忍出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2010/05/22メディア: 単行本購入: 483人 クリック: 15,840回この商品を含むブログ (587…

『ココロコネクト』の思想3―ディスコミュニケーション論の「その先」へ

2月末に『ココロコネクト』の最新巻が発売されるという事で、今から楽しみにしているが、今日はこの作品が描く「絆」の形について述べてみようと思う。さて、「絆」とは何だろうかと考えた時に、それは「互いの欠点も許容できるほどの強固な関係性」の事だと…

『あの夏で待ってる』OP映像から見えてきたこと―他の長井監督作品と比較して

『とらドラ!』『とある科学の超電磁砲』『あの日みた花の名前を僕達はまだ知らない。』のOP映像について考察した記事が注目されたことは記憶に新しい。 『とらドラ!』のキャラたちがまとうカラー・イメージとはいったい何だったのか――OP/アイキャッチにおけ…

(ネタバレ注意)小説『Another』を読んで感じた事

今アニメ版が放送中の『Another』の原作小説を読んだ。あまりにも面白すぎて一気に読み終えてしまったので、読んで思った事をいくつか書き留めておく。以下の文章では本作における重大なネタバレを含むので、まだ小説を読み終えてない方、今後のアニメの展開…

部活動論1―『白球少女』、野球部

白球少女 ? (フレックスコミックス)作者: 山崎毅宜出版社/メーカー: ソフトバンククリエイティブ発売日: 2011/01/12メディア: コミック クリック: 20回この商品を含むブログ (8件) を見るいやあ、『白球少女』のラストは深いなあ。この作品って、ハッピーエ…

より一般性が高くチャレンジングな考察を目指して―2012年の本ブログ活動方針

明けましておめでとうございます。早速ですが、本ブログの昨年の活動を振り返りつつ、本ブログの今年一年の活動に関する大まかな方針・目標のようなものを書いてみようと思います。 一般性のある考察を目指して アニメ・ライトノベル・漫画を考察する場合、…