新・怖いくらいに青い空

アニメ・マンガ・ライトノベル考察

ライトノベル

『ココロコネクト アスランダム』私論―「あなた」と繋がりたいという思いが「世界」を変える

はじめに ついに『ココロコネクト』が終わってしまった・・・。正確に言えば、まだ短編集を出す予定があるとのことだが、文研部7人と〈ふうせんかずら〉が繰り出す『現象』をめぐる物語は、ついに終わりを迎えてしまったのだ・・・。何だろう、この寂しさは…

『安達としまむら』に描かれた閉塞的な百合の世界

『安達としまむら』のような百合を前面に押し出したライトノベルは、入間人間が書かなくても遅かれ早かれ誰かが書いたと思う。『らき☆すた』『けいおん!』『Aチャンネル』『ゆゆ式』をはじめとする日常系4コマ漫画を原作とする作品群、『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト…

当ブログが追いかけてきた『ココロコネクト』論の系譜について

(この記事は、私が以前に書いた『ココロコネクト』考察まとめ - 新・怖いくらいに青い空という記事に寄せられたコメントに対する返信のつもりで書きました。コメント内容については該当記事をご参照ください。)ごんさんへ。コメントありがとうございます。…

『ソードアート・オンライン』は、「新しい技術がどのようにして社会を変えてゆくのか」という人類の進歩に関わる根源的なテーマを扱った作品

『ソードアート・オンライン』を読んでいる時のワクワク感は半端ない。この小説って本来は仮想空間におけるバトル物・ラブコメに分類されるんだろうけど、私はこの作品を、新しい技術や新しい世界に対して、人類がそれとどのように向き合い社会を変えていっ…

『ココロコネクト』と『氷菓』から絆について考える

『ココロコネクト』における絆 ココロコネクト ステップタイム (ファミ通文庫)作者: 庵田定夏,白身魚出版社/メーカー: エンターブレイン発売日: 2012/06/30メディア: 文庫 クリック: 18回この商品を含むブログ (18件) を見る『ココロコネクト』のアニメ版が…

『ココロコネクト ユメランダム』私論―「能力の行使」と「自分の意志を持つこと」

はじめに ココロコネクト ユメランダム (ファミ通文庫)作者: 庵田定夏,白身魚出版社/メーカー: エンターブレイン発売日: 2012/02/29メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 58回この商品を含むブログ (24件) を見るアニメ版のキャストも決まり、いよいよ盛り上が…

『スクール・デモクラシー!』と現代民主主義の問題点

スクール・デモクラシーの暗部 スクール・デモクラシー!1 (講談社ラノベ文庫)作者: 吉村夜,鍋島テツヒロ出版社/メーカー: 講談社発売日: 2012/02/02メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 20回この商品を含むブログ (9件) を見る『スクール・デモクラシー!』は…

『これからの正義の話をしよっ☆』を読んで、これからのバレンタインデーの話をしよう

第1章 問題の提起 これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学作者: マイケル・サンデル,Michael J. Sandel,鬼澤忍出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2010/05/22メディア: 単行本購入: 483人 クリック: 15,840回この商品を含むブログ (587…

『ココロコネクト』の思想3―ディスコミュニケーション論の「その先」へ

2月末に『ココロコネクト』の最新巻が発売されるという事で、今から楽しみにしているが、今日はこの作品が描く「絆」の形について述べてみようと思う。さて、「絆」とは何だろうかと考えた時に、それは「互いの欠点も許容できるほどの強固な関係性」の事だと…

『ココロコネクト』の思想2―「世界を変える」ということ、「仲間を信頼する」ということ

はじめに 前回の記事『ココロコネクト』の思想1―「悩み」を解決するためのヒントでは、『ココロコネクト』の第1巻から第3巻までの内容について考察した。今回は、それに続いて第4巻、短編集である第5巻、そして先日発売されたばかりの第6巻について考察して…

『ココロコネクト』の思想1―「悩み」を解決するためのヒント

はじめに 『ココロコネクト』の舞台は私立山星高校の文化研究部。そのメンバーである八重樫太一・永瀬伊織・稲葉姫子・桐山唯・青木義文は、〈ふうせんかずら〉という謎の存在によって、不思議な現象を体験させられる。第1巻では『人格入れ替わり』、第2巻で…

『バカとテストと召喚獣』とアファーマティブ・アクション―学力を取るか、多様性を取るか

掲示板まとめサイトを見ていたら、『バカとテストと召喚獣』について次のような指摘があった。 結局召喚獣って何の意味があるのかさっぱりわからん テストの点数で強さが決まるならテストの結果が全てで召喚獣いらないじゃん (ろぼ速VIP なんで失敗したか分…

『テルミー』が伝えようとしている事は―作中に垣間見える反石原・反表現規制のメッセージ

はじめに テルミー きみがやろうとしている事は (集英社スーパーダッシュ文庫)作者: 滝川廉治,七草出版社/メーカー: 集英社発売日: 2010/07/23メディア: 文庫購入: 7人 クリック: 133回この商品を含むブログ (52件) を見る先日『テルミー』第1巻を読んで強い…

『僕の妹は漢字が読める』と日本語の変遷について―「伝えること」「伝わること」の素晴らしさ

僕の妹は漢字が読める (HJ文庫)作者: かじいたかし,皆村春樹出版社/メーカー: ホビージャパン発売日: 2011/06/30メディア: 文庫購入: 16人 クリック: 1,324回この商品を含むブログ (78件) を見る最近『僕の妹は漢字が読める』といふライトノベルが話題になつ…

『とある魔術の禁書目録』と原発事故―上条当麻の言葉から脱原発への道筋を探る

上条さんは原発というシステムを絶対に認めないと思う。なぜならそれは、周辺住民や作業員の命や生活を犠牲にして、大量の放射性廃棄物という未来へのツケを残して、現代の我々が豊かな生活を送れるようにするという、誰かの犠牲を前提としたシステムだから…

桜庭一樹私論1―『GOSICK』と「大人になる」ということ

桜庭一樹と「大人になる」ということ 桜庭一樹の小説に出てくる少女たちは、複雑な家庭環境(親の再婚や家庭内暴力など)のもとに生まれ、何も分かっていないのに知ったような口を利く教師や警察官をずっと見てきた。だからこそ、彼女たちには、大人達の醜い…

『とある魔術の禁書目録』―科学、魔術、そして「再現性」について

『禁書』と再現性 もしあなたが研究者で、論文誌に自分の研究成果を投稿しようとする場合、どういった事が重要になるだろうか。まず第一に、その論文には「新規性」がなければならない。どんなに優れた研究成果であっても、それが一番でなければ意味がない。…

『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』―「想いの伝わらなさ」を克服した物語

『俺妹』におけるテーマの転換 私は以前書いた記事の中で、『俺妹』は「普通と異常の境界」で起こる化学反応を描いた作品だと述べた。すなわち、「オタク文化」についてほとんど何も知らない「普通」の高校生である京介の視点を通じて、妹・桐乃の趣味である…

『バカとテストと召喚獣』についての3つの論点―試験召喚システム・強者への反抗・キャラクターの個性

はじめに 7月からアニメ『バカとテストと召喚獣』の第2期が始まる。そこで今回は、この作品を「試験召喚システム」「強者への反抗」「キャラクターの個性」という3つの観点から考察する。この記事が、これからアニメ第2期を語る皆さんの役に立ってくれたら幸…

『緋弾のアリア』に学ぶ国際政治―各勢力についての要点整理を兼ねて

(※注)『緋弾のアリア』に関する重大なネタバレがあります。原作ライトノベル9巻まで読んでない方はご注意を。 『緋弾のアリア』第8巻以降の勢力図 『緋弾のアリア』は、第5巻においてイ・ウーが壊滅し、一区切りがついたと言って良いでしょう。しかし、イ…

性と暴力の東京武偵高校―『緋弾のアリア』とアメリカ銃社会

(※注)『緋弾のアリア』に関する重大なネタバレがあります。原作ライトノベル9巻まで読んでない方はご注意を。 『緋弾のアリア』に描かれるもう一つの日本 4月からMF文庫Jの『緋弾のアリア』がアニメ化されるので、その前に原作を読んでみたんだけど、この…

ファスト風土化するライトノベル―『半分の月がのぼる空』と「地方の閉塞感」

ファスト風土化とライトノベル 今更『半分の月がのぼる空』について書くのもどうかと思ったが、やはり気になる点があったので簡単に書き留めておく。この作品で描かれていることは、それはもちろん、不条理に奪われていった(もしくはこれから奪われるであろ…

皆が幸せになることをあきらめないという選択―『とらドラ!』に見る「幸せ」の有り方

誰一人も犠牲にすることなく、全員が幸せになるような選択は有り得るだろうか。時と場合にもよるが、そのような選択は極めて難しいと言えるだろう。また、他の皆の幸せのために、自らが犠牲になるという選択は許されるのだろうか。そして、誰かの犠牲によっ…

「システム」の「外部」にいるということ―『とある魔術の禁書目録』の上条当麻について考える

今日は、ライトノベル『とある魔術の禁書目録』を13巻まで読んで思った事、特に主人公である上条当麻についての私論を述べたいと思います。さて、主人公というものは普通、主人公を取り巻く何らかの「システム」の内部にいます。そして、バトル物の作品の場…

「普通」と「異常」の境界で―『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』が描く「一般人から見たオタク像」

今年、「普通」と「異常」との交流をテーマにしたアニメがいくつか登場しており、『WORKING!!』や『荒川アンダーザブリッジ』がその典型である、という記事をかつて書いた(詳しくは、「「普通」と「異常」の境界で―『WORKING!!』『荒川アンダーザブリッジ』…

誰かの犠牲の上に成り立つ平和とは―『イリヤの空、UFOの夏』が描く「日本人の罪深さ」

セカイ系の代名詞とも言われているライトノベル『イリヤの空、UFOの夏』を読み終わった後に、我々が感じるモヤモヤとした思い、やるせなさは一体何に起因するのだろう。もしこの作品が、ただ主人公とヒロインの堅い愛を描いただけの作品だとしたら、こんな感…